2007年04月25日

血と骨〈上〉/梁 石日 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
一九三〇年頃、大阪の蒲鉾工場で働く金俊平は、その巨漢と凶暴さで極道からも恐れられていた。女郎の八重を身請けした金俊平は彼女に逃げられ、自棄になり、職場もかわる。さらに飲み屋を営む子連れの英姫を凌辱し、強引に結婚し…。実在の父親をモデルにしたひとりの業深き男の激烈な死闘と数奇な運命を描く衝激のベストセラー。山本周五郎賞受賞作。

こんな人が家族にいたら絶対に嫌だよね。
近所にいるだけでも嫌だ。
でも、その生き方には何故か引き付けられるものがある。
そんな主人公、金俊平の一生を書いた作品。

作者の実父がモデルとされているだけあって、
小説として誇張されている部分もあるのだろうが、
その存在感、リアリティーには圧倒される。

物語は1930年頃の大阪から始まる。
力で自分の好きなように生きる金俊平。
何故か無理やり妻にされてしまった英姫。
金俊平に振り回される親友の高信義。

金俊平の野放図な生き様と共に、貧しいながらも、
互いに助け合いながら生きる在日朝鮮人の生活が書かれる。
その助け合いの精神は殺伐とした現代では考えられません。

小説の技術としては、視点が定まっていない部分があります。
だけど、そんな欠点も気にならない位、この作品には読む者を圧倒する
骨太の骨と、熱い血が流れています。
凄い作品です。

血と骨〈上〉
血と骨〈上〉
posted by まどか at 03:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 梁 石日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月27日

血と骨〈下〉/梁 石日 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
敗戦後の混乱の中、食俊平は自らの蒲鉾工場を立ち上げ、大成功した。妾も作るが、半年間の闘病生活を強いられ、工場を閉鎖し、高利貸しに転身する。金俊平は容赦ない取り立てでさらに大金を得るが、それは絶頂にして、奈落への疾走の始まりだった…。身体性と神話性の復活を告げ、全選考委員の圧倒的な支持を得た山本周五郎賞受賞作。

妻の英姫に資金を用意させ、蒲鉾工場を立ち上げる金俊平。
それにしても英姫は生活力がありますね。
金俊平なんかと関わらなければ一財産築けたのではないでしょうか。

自分の子供たちにも昼夜を問わず働かせるが、工場で得た金は
家族の為には一切使わない。
相変わらず、自分の好きなように生きる男です。

その奔放な生き方が鮮やかだった分、晩年の境遇はいっそう哀れに感じる。
最後の愛人である定子やその子供たちは酷い人間だと思ったが、
定子だけの問題では無く、妻の英姫や子供たち、定子の前の愛人である
清子にしてきた事の報いではないだろうか。

自分の長男である成漢に「チャネ(あんた)、チャネ(あんた)」と呼びかける金俊平。
そして人生最後にして最悪のバッド・チョイス。
人間の業を感じさせます。

血と骨〈下〉
血と骨〈下〉
posted by まどか at 02:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 梁 石日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月14日

闇の子供たち/梁 石日 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。

情報が古い。現在のタイやカンボジアでは、あからさまな幼児売春
は行われていない。それはNGO活動の成果と言うより、インター
ネットの普及による所が多い。人知れず行われていた事が、イン
ターネットの普及により、より多くの人の目にふれる事となった。

あまりにも有名になりすぎてしまった村。世界中から買春旅行者が
押しかけ、政府も動かざるを得なくなった。インターネットを使って
情報交換していたペドファイルにとっては皮肉な結果である。

この小説は取材した事実に基づき、小説として再構成した作品と
言えるだろう。あえて難しいテーマに挑戦した作者には敬意を表
したい。作品の前半では思わず目をそらしたくなるような凄惨な
描写が続く。だんだん感覚が麻痺していくようで怖かった。後半は
タイのNGOに勤める日本人職員の活動が中心となる。小説として
みると統一感が無いように思えた。結末は少し不満が残る。
どうせなら前半同様救いようの無い闇を書ききって欲しかった。

この問題をタイやカンボジアなど、アジアだけの問題だと思って
欲しくない。かつては日本でも同じ事が行われていたのだ。
そして世界のどこかの国では、現実として今でも幼児売春や臓器
売買が行われているのかも知れない。

闇の子供たち (幻冬舎文庫)
闇の子供たち (幻冬舎文庫)

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posted by まどか at 05:50| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 梁 石日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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