2008年11月13日

紐育、宜候(ニューヨーク、ようそろ)―SF 太平洋戦争/光瀬 龍 ★★

内容(「BOOK」データベースより)
昭和17年6月、ミッドウェイ島で小さな地震が感知された―ミッドウェイ海戦で大勝利を収めた日本軍は、破竹の勢いで世界各地へ進攻し、アラスカ、ハワイなどを占領。同盟国ドイツも、欧州、アフリカ全域を制圧していた。アメリカ合衆国は海軍の空母の9割を失い、戦略を大幅に変更した。それは、劣勢を一挙に挽回する革命的な原爆計画だった。一方、昭和20年8月5日、ハワイを飛び立った日本の超重爆撃機“富岳”は原爆を搭載し米本土へ出撃した!歪められた歴史の修正をめざす時間局員の闘いが始まった。太平洋戦争をめぐる迫真の歴史SF。

光瀬龍氏といえば、日本SF界の黎明期を支えた大立者の
一人である。ジュブナイル作家としても多くの作品を残しており、
『夕ばえ作戦』など、大変面白く、夢中で読んだ記憶がある。

だけど、残念ながらこの作品には褒めるべき点が見当たらない。
内容からすると一見架空戦記のようにも思えるが、架空戦記の
読みどころの一つである血湧き肉踊る戦闘場面はほとんど出て
こない。日本軍がアメリカを制圧する事になっているが、その
経過や戦闘シーンは無く、状況説明のみである。
作者の個人研究ではないかと思われるような箇所もある。

タイトルにもあるとおり、この作品はSFなのであろう。
しかし、肝心のタイムパトロールが登場するのは作品の後半を
過ぎてからである。タイムマシンについても、設定がかなりいい
加減である。何故日本だけでなく、イギリスやペルーでも現象が
発生したかの説明もあいまいである。

全てが中途半端で、チグハグな印象なのである。
ただ、最後には、判る人には判る、ちょっとした仕掛けがあって
ニヤリとさせてくれる。

紐育、宜候(ニューヨーク、ようそろ)―SF 太平洋戦争 (角川文庫)
紐育、宜候(ニューヨーク、ようそろ)―SF 太平洋戦争 (角川文庫)

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posted by まどか at 03:42| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月06日

パリ-北京ラリーの華/高斎 正 ★★★

自動車をテーマとした小説を数多く執筆している高斎正氏の作品。
本作は『ホンダがレースに復帰する時』から始まるシリーズの延長
にあると言って良いだろう。しかし、この作品で登場するのは超伝
導蓄電池を積んだ電気自動車である。現実のテクノロジーを使った
一連のシリーズよりはSF色が強い内容となっている。

この作品が書かれたのは1989年である。残念ながら未だに超伝
導蓄電池を積んだ電気自動車と言うのは実用化されていない。
鉛蓄電池を使った電気自動車も普及しているとは言えず、ハイブ
リットカーがやっと普及し始めた所である。この作品に出てきた中で
現在までに実用化されたのはGPSナビゲーターくらいの物である。

本作はダイハツが電気自動車でパリ〜北京間の一万八千キロを
走るラリー(正確にはレイド、冒険旅行の意味)に挑戦するという
ものである。ベースとなる車はアプローズ。そんな車あったのかと
言う程マイナーな車種である。せめてラガー(これもマイナーだが
クロスカントリータイプでトヨタにブリザードの名でOEM供給された)
にした方が良かったのでは無いか。

失礼ながら、親会社のトヨタならともかく、ダイハツの企業規模では
全行程に太陽電池を使った充電設備を建設するというのは無理が
有るのではないだろうか。ガソリンや軽油を使った車より、とんでも
ない費用がかかりそうである。ちなみに、レースの結末は読んでの
お楽しみである。

「メカは書けても人間は書かれていない」。高斎氏の作品に対して
よく言われる言葉である。確かに開発に懸ける技術者の意気込み
や苦悩みたいなものは書かれているのだが、出てくる人間はみん
な優等生で、それこそ機会みたいな人達ばかりである。登場人物
が聖人君子ばかりでは小説としての厚みといったものが感じられ
ない。しかし、『ホンダがレースに復帰する時』から始まるシリーズ
が何作も刊行されているように、高斎氏の作品には何故か心惹か
れるものがあるのも事実である。

パリ-北京ラリーの華 (徳間文庫)
パリ-北京ラリーの華 (徳間文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
いつの日か、常温超伝導は可能になる。自動車の歴史にまったく新しい一ページが書き加えられる可能性が見えて来た。騒音と排気を出さず、地球の環境を破壊しない電気自動車の可能性が…。超伝導現象に注目したダイハツは、独自のプロジェクトチームを組織し、超伝導蓄電池を積んだ電気自動車の開発にあたっていた。折しも開催された全行程一万八千キロ、スペシャルステージ二千キロのパリ―北京ラリー。人類と地球を愛する人々の夢は、技術の壁を突き破れるのか…。長篇カーノベル。

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posted by まどか at 04:51| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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