2007年06月05日

青の炎/貴志 祐介 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

湘南を舞台にした青春小説として読んだ。
高校二年生の主人公、櫛森秀一と、彼の友人や恋人とのふれ合いが、
その年代にしか判らないような、みずみずしいタッチで書かれている。
窪田僚が書いていた青春小説のようだった。

そんな主人公が、突然の闖入者のため完全犯罪を目論む。
その動機は、私利私欲では無く、純粋に家族のためを思っての事である。
英語や国語、数学物理など教科書からの題材や、龍恋の鐘等、小道具
の使い方が上手い。

ただ、ミステリーとしては、事件を追う刑事側の視点が無いのが物足りない。
勿論作者は犯罪を犯す少年の心理を書きたかったのだろうが、倒叙物では
刑事側が事件の矛盾点に着目し、謎を解明して行く過程も重要な見せ場
であると思う。
それに、大人の目で見ると、主人公の行動は動機が純粋とは言え、未熟な、
ケツの青い少年が、思い込みで一人突っ走ってしまったようにも思える。

やはり青春小説として読むべきである。
それも、読み手の感性が新鮮なうちに。

青の炎
青の炎
posted by まどか at 02:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 貴志 祐介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月06日

黒い家/貴志 祐介 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。

第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
ホラー作品と言っても、この作品に登場するのは、超人的能力を
もった人物や、異様な外見の人物などではない。
あくまでも普通の人間である。
そこがこの作品の最大の長所であると思う。
登場人物がどこか作り物めいた印象を受けるような超人や
幽霊では無く、どこにでもいるような普通の人間である事に
より、明日は自分の身に降りかかってくるのではないかという
恐怖感が増す。

黒い家
黒い家
posted by まどか at 21:35| ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 貴志 祐介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月07日

硝子のハンマー/貴志 祐介 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。

密室殺人をテーマとした本格物。介護サルや介護ロボットと言った、
如何にも怪しげな道具立てが次々と登場し、弁護士の青砥純子
と防犯コンサルタントの榎本が謎を解いて行く。

この作品は二部構成になっており、前半いい調子で謎解きが展開して
行ったと思ったら、後半は何故か一転、犯人目線の倒叙形式となる。
この構成は中途半端である。

作者としては、犯人の心理を書きたかったのだろうが、前半で推理を
働かせていた読者にとって、いきなり犯人が判ってしまうと言うのは
かなり興醒め。

犯人の動機も、殺人まで犯す必然性が無いように感じる。
作者はこのトリックを書きたかっただけではないのか。

とは言え、探偵役の防犯コンサルタント榎本のキャラクターは
なかなか魅力的であり、弁護士の青砥とのコンビも良い味を
出している。読み物としては充分楽しめる一冊である。

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

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posted by まどか at 02:00| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 貴志 祐介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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