2007年06月29日

人間の証明/森村 誠一 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」西条八十の詩集をタクシーに忘れた黒人が、ナイフで刺され、ホテルの最上階に向かうエレベーターの中で死亡した。棟居刑事は被害者の過去を追って、霧積温泉から富山県へと向かい、ニューヨークでは被害者の父の過去をつきとめる。日米共同の捜査の中であがった意外な容疑者とは…!?映画化、ドラマ化され、大反響を呼んだ、森村誠一の代表作。

「母さん 僕のあの帽子 どうしたでせうね・・・ママー ドウ ユー リメンバ〜♪」
70年代、角川書店のメディアミックス戦略にのり、現在までに770万部も売れた
(売った)、作者の代表作。その後も何度か映画化やテレビドラマ化されている。

あまりに有名な作品なので、逆に読むのを敬遠していた。
読んでみると、物語の本筋には関係ない、単なる死体発見者のディティールを
詳細に記述していたりして、ああ、やはり森村氏の作品だなと、妙に安心してし
まった。

人なら誰しも、せつなく心を揺さぶられる西条八十の詩をモチーフにする事に
より、推理小説としての単なる謎解きに終わる事無く、深く人間性を追求した
作品となっている。逆に言えば、この詩が無ければ、この作品は成り立たない。

クライマックスの人間の証明をする部分では、容疑者に対し冷酷に西条八十の
詩を読んで聞かせる刑事の方こそ、人間では無いと思ってしまった。
確たる証拠を固められず、容疑者の情に訴えて自白を引き出すというのは、
警察の捜査としては邪道だろう。
それに、登場人物の人間関係も出来すぎている。

まあ、そんな事は気にせず、哀しくせつない物語を、じっくり味わうのが、この
作品の正しい読み方だろう。

「母さん 僕のあの帽子・・・」
うう、きたないよー、反則だよー、と思いつつも、この詩を使った作者の勝利だ。

人間の証明
人間の証明
posted by まどか at 05:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 森村 誠一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月24日

黒い墜落機(ファントム)/森村 誠一 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
最新鋭戦闘機「ファントム」が、南アルプス山中に墜落した。その任務は極秘、事故は絶対に隠蔽せよ!自衛隊首脳部は、秘密裡の機体撤収と目撃者の抹殺を命じる。現場近くの寒村には、老いた村人と、それぞれの過去を持つ旅行客がいた。突然、彼らを襲う理不尽な暴力。戦争のプロに対する、弱い市民のサバイバルをかけての絶望的な戦いが始まった。息を呑む展開、怒涛の迫力。「軍」の正体を余す所なく暴く社会派エンターテイメントの傑作。

ファントムが最新鋭機だったというから、かなり古い作品である。
南アルプス山中に墜落した戦闘機の存在を隠蔽するため、目撃
者を皆殺しにしてしまおうという、かなり強引な設定の作品。
中国や北朝鮮みたいな社会主義国でも、そこまではしないだろう
という気がする。逆に言えば、これらの国ではする必要も無いの
だろうが。

このような設定が出てくるのは、常に国民の目を意識しなければ
ならない自衛隊の宿命なのだろう。
ところで、作者は自衛隊というか、軍隊が嫌いなのかな。
そんなふうに思える記述がみられた。

自衛隊は精鋭の空挺部隊を送り込む。対するは、年老いた老人
達と、村に一軒だけある民宿の管理人夫婦、そして民宿に泊まっ
ていた宿泊客。これでは勝負にならないと思ったのか、民宿の
宿泊客はいずれも一癖ありそうな人物で、何故かそれぞれ特殊
能力を持っている。

機体を回収し村人を抹殺しようとする自衛隊と、村人達の駆け
引きが始まる。ここがこの作品の最大の面白さである。荒唐無稽
ではあるが、ある意味ゲームみたいな感覚で楽しめる。

始まりは突然だったが、終わりも唐突に終わる。最後は登場人物
に対する作者の非情な仕打ちが待っている。
後味は悪い。
ゲーム小説として割り切って、エンターテイメントに徹したほうが
良かったのではないかな。

黒い墜落機(ファントム) (集英社文庫)
黒い墜落機(ファントム) (集英社文庫)

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posted by まどか at 05:36| 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 森村 誠一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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