2007年03月13日

不夜城/馳 星周 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。バンコク・マニラ、香港、そして新宿―。アジアの大歓楽街に成長した歌舞伎町で、迎合と裏切りを繰り返す男と女。見えない派閥と差別のなかで、アンダーグラウンドでしか生きられない人間たちを綴った衝撃のクライム・ノベル。

この作品のレビューを書こうとして、何日も悩んでいたが、どうしても
上手く書けない。
下手な文書を並べても、この作品を言い表す事は出来ない気がする。
それほど衝撃的な作品です。
とにかく読め!としか言えない。

繰り返される嘘と裏切り。
仲間も女も、誰も信じない。
信じられるのは自分だけ。
まともな人間なんて、一人も登場しません。
人によっては嫌悪感を催すかも知れません。

だけど、引き込まれる。
久しぶりに、ゾクゾクするような小説にめぐり合えました。
大藪春彦以来です。

不夜城
不夜城
posted by まどか at 04:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 馳 星周 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月15日

マンゴー・レイン/馳 星周 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
タイ生まれの日本人、十河将人。彼はバンコクで再会した幼馴染から、中国人の女をシンガポールに連れ出す仕事を引き受ける。法外な報酬に、簡単な仕事。おいしい話の筈だった。だが、その女と接触した途端、何者かの襲撃を受け始める。どうやら女が持つ仏像に秘密が隠されているらしい―。張り巡らされた無数の罠、交錯する愛憎。神の都バンコクで出会った男と女の行き着く果ては。至高のアジアン・ノワール。

新宿歌舞伎町の華人世界の事は知らないけど、今や多くの日本人が訪れる
天使の都、バンコクの事だったら少しは知ってます。
テレビのタイアップ番組のごとく、(主に夜の)観光名所ばかり出てくるのは
少々しらけます。
ちなみに、BTSはモノレールではありません。
初めてバンコクを訪れる日本人が良くやるようなボケを作中でかましてますね。

物語の内容は不夜城とあまり変わりばえしません。
特にメイという女性の造形は、不夜城のヒロインとほとんど同じです。
ただ、のんびりした東南アジアの人には不夜城のような世界は似合いません。
結局、こういうのが似合うのは中国人ですね。
物語の主要な登場人物も、日本人か中華系の人が多くなっています。
実際に東南アジアの夜を支配しているのも華僑ですしね。

主人公の女衒という職業や、置屋に売られたメイの過去も、通り一遍で
書き込みが浅い。売られていく女たちやその家族、置屋での生活など、
悲惨なエピソードを盛り込めば、もっと作品に深みが出たのではないかな。
まあ、知らないから書けなかったんだろうけど。

マンゴー・レイン
マンゴー・レイン
posted by まどか at 05:03| Comment(3) | TrackBack(0) | 馳 星周 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月29日

鎮魂歌(レクイエム)―不夜城〈2〉/馳 星周 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
新宿の街を震撼させたチャイナマフィア同士の銃撃事件から二年、警察の手すら届かない歌舞伎町の中国系裏社会を牛耳るのは、北京の崔虎、上海の朱宏、そして、銃撃事件で大金を手に入れた台湾の楊偉民だった。勢力図も安定したかと思われた矢先、崔虎の手下の大物幹部が狙撃され、歌舞伎町は再び不穏な空気に包まれた!崔虎は日本人の元刑事に犯人を探し出すよう命じるが、事態は思わぬ方向へと展開していく…。事件の混乱に乗じ、劉健一は生き残りを賭け、再び罠を仕掛けた!―驚異のデビュー作『不夜城』の二年後を描いた、傑作ロマンノワール。

不夜城の続編。
物語は、殺し屋の郭秋生と、元刑事の滝沢の目を通して進む。
前作で主役だった劉健一は裏方に回る。
このあたり、最初の内は若干物足りなさも感じた。

殺し屋の郭秋生が北京流氓の幹部を殺す事から事件は始まる。
北京流氓のボスから犯人を捜すよう依頼される元刑事の滝沢。
北京流氓、上海流氓、中華人民戦線、日本のやくざ等、複数の
グループが入り乱れ複雑に絡み合う。

しかし、裏で全ての糸を引いていたのは、劉健一と楊偉民だった。
前作では地面を這いずっていた劉健一が、自分は表に出る事無く、
裏で人を操る。
楊偉民と同じような、冷酷で嫌な奴になってしまったのがちょっと悲しい。
でも、劉健一がここまでになる過程も読んでみたかった気がする。

過去に傷を持つ郭秋生や、どこまでも落ちていく滝沢の造形が秀逸。
馳星周は落ちていく男を書かせると上手いですね。
エンターテイメントとして充分楽しめる作品です。

鎮魂歌(レクイエム)―不夜城〈2〉
鎮魂歌(レクイエム)―不夜城〈2〉
posted by まどか at 05:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 馳 星周 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月29日

虚(うつろ)の王/馳 星周 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
金曜の夜、渋谷。伝説のチーム“金狼”の元メンバーで今は覚醒剤の売人の新田隆弘は、兄貴分の命令で高校生が作った売春の組織を探っていた。組織を仕切るのは渡辺栄司、学業優秀な優男。だが、誰もが彼を怖れていた。隆弘の拳よりも。苛立つ隆弘の前に栄司が現われたとき、破滅への疾走が始まった…。十代の心の空虚さ―闇に潜む戦慄を鋭利に描く傑作長編。

覚醒剤の売人となっている新田隆弘が、高校生の作った売春組織を
探る過程で、売春組織を取り仕切る栄司、栄司の恋人の希生、希生
の通う学校の教師である潤子と知り合う。

もちろん隆弘の目的は正義のためなんかでは無く、売春組織の上がり
を掠めるためである。
この作者の作品に、まともな人間なんて出てくる訳が無い。

隆弘、栄司、希生、潤子のクソミソパーティーを軸に物語りは展開する。
躍動感、力感あふれる隆弘の描写が見事。ただ、この作品のもう一人
の主役である栄司には現実感が欠けていると感じた。

隆弘が栄司、希生、潤子と関わる内に、例によってドツボに嵌まって行く。
登場人物の過去の記憶に起因する小道具も当然使われている。
既読感バリバリ、でも読んでる間はとっても幸せ。理屈なんかいらない。
まだ未読の馳星周作品がある人は幸せである。

虚(うつろ)の王 (光文社文庫)
虚(うつろ)の王 (光文社文庫)

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posted by まどか at 09:58| ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | 馳 星周 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月13日

雪月夜/馳 星周 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
根室でくすぶる幸司のもとへ、東京でやくざになった裕司が突然姿を現した。組から数億の金を掠めとり、ロシア人娼婦を連れて根室に消えた敬二を捜すのに手を貸せ、という。ガキの頃から憎み合いながら繋がっていた幸司と裕司。互いに激しい殺意を抱きつつも大金のため、二人は敬二の足取りを追う―。抒情と悲壮美に満ちた馳ノワールの新たな到達点。

ロシアと国境を接する根室という地の特殊事情、そして
幸司と裕司という幼馴染の関係を描き、馳星周氏が
新境地を切り開いた作品である。

しかし、その内容はおなじみのパターンとなる。
金に群がる人たち。繰り返される裏切り。
そして、例によって救いようの無いエンディング。

多少目先を変えた所で、本質は変わらない。
でも、読んでる間はとっても幸せ。
馳星周氏の作品には、既読感があっても、
なお物語に引き込まれる何かがある。

雪月夜 (角川文庫)
雪月夜 (角川文庫)

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posted by まどか at 02:51| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 馳 星周 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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