2006年05月04日

新宿鮫/大沢在昌 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
ただ独りで音もなく犯罪者に食いつく―。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。待ち受ける巧妙な罠!絶体絶命の鮫島…。登場人物の圧倒的な個性と最後まで息をつかせぬ緊迫感!超人気シリーズの輝ける第1作。

それなりに退屈せずに読めるが、読んだ後に今一つ心に残る物が無い。
警察の枠組みからはみだした刑事と言う設定も新鮮さに欠ける。
主人公には、警察のはみだし者と言っても、根はどこか良心的なものを感じた。
もっとハチャメチャな性格とか設定にした方が面白かったのではないか。

新宿鮫
新宿鮫
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2006年05月07日

毒猿―新宿鮫〈2〉/大沢 在昌 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
歌舞伎町の女・奈美。孤独な彼女が心惹かれる外国人・楊は、謎の影を持つ男だった。一方、「新宿鮫」と恐れられる新宿署刑事・鮫島は、完璧な「職業兇手」(殺し屋)が台湾から潜入していることを知る。「毒猿」と呼ばれる男が動きはじめた刹那、新宿を戦慄が襲う!鮫島は、恐るべき人間凶器の暴走を止められるのか?奈美の運命は…。

確実に一作目より面白い。

台湾から来た「職業兇手」(殺し屋)「毒猿」。
容赦なく、冷静沈着に粘り強く狙った獲物を確実に殺していく。
軍隊の特殊部隊出身で、トム・クランシーのジョン・ケリー
(容赦なく、他ライアンシリーズ)を彷彿させる。

そんな「毒猿」を助ける中国残留孤児の娘、奈美。
「毒猿」を追って台湾からやって来た刑事の郭。

この三人を中心として物語が動く。
それぞれの造形が秀逸。

もう鮫島クンは完全な脇役。
あえて新宿鮫にする必然性も感じられない程。

優れたシリーズ物は一作目より二作目の方が面白い。
パトリシア・コーンウエルの「検屍官シリーズ」しかり。
シリーズ物として成功するには、一作目で優れた評価を受けた
上で、二作目は、さらにそれを上回る面白さが必要だ。
その意味では新宿鮫シリーズがこれだけ長く続いたのもうなずける。

毒猿―新宿鮫〈2〉
毒猿―新宿鮫〈2〉
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2006年06月10日

屍蘭―新宿鮫〈3〉 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
犯罪者たちから「新宿鮫」と恐れられる、新宿署刑事・鮫島。新宿の高級娼婦の元締め・浜倉が殺された。事件に迫る鮫島の前に浮かび上がる産婦人科医「釜石クリニック」。背後に潜む呪われた犯罪とは?だが、鮫島に突然、汚職・殺人の容疑が!さらに敵の完璧な罠が「新宿鮫」を追いつめる!息詰まる興奮、圧倒的な感動!超人気傑作シリーズ第3弾。

「新宿」、「鮫」といった単語からは、危険で獰猛と言ったイメージを連想する。
ところが、本シリーズの主人公には、警察の枠組みからはみだした刑事と言いつつも、その本質は真面目で良心的なものを感じてしまう。
タイトルとは裏腹に、どこか枠の中に収まっている感じ。

不満です。

この主人公でシリーズ物を続けていくには、魅力有る敵を創造して行くしかない。
二作目では主人公を脇役に回し、冷徹な殺し屋を軸とした人間模様とアクションで読ませた。
そして本作では、冷酷な犯行内容と犯罪者の姿のギャップでそれなりに読ませる。

でも鮫島クンは罠にかけられても警察を辞めようとはしない。
やっぱりこの人は枠の中の人だ。
いい人だけじゃ、いつか飽きられちゃうよ。

屍蘭―新宿鮫〈3〉
屍蘭―新宿鮫〈3〉
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2006年09月16日

北の狩人〈上〉/大沢 在昌 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
新宿に北の国から謎の男が現れる。獣のような野性的な肉体は、特別な訓練を積んだことを物語っていた。男は歌舞伎町で十年以上も前に潰れた暴力団のことを聞き回る。一体何を企んでいるというのか。不穏な気配を感じた新宿署の刑事・佐江は、その男をマークするのだが…。新宿にもう一人のヒーローを誕生させた会心のハードボイルド長編小説。

北の国と言うと、どうしても北朝鮮を想像してしまいます。
最初は北朝鮮の秘密工作員が新宿に潜入して何かしようと
しているのかと思ってました。
ところが、北の秘密工作員じゃなかったんですね。

強い者が弱い者を喰い、それをさらに強い者が喰う。
やや類型的ではあるが、新宿という街の、弱肉強食、食物連鎖の
非情な世界が物語の基底に流れています。
そこにやって来た謎の男が12年前に潰れた暴力団の事を聞きまわる。
その結果明らかになる過去の事件の真相とは?

主人公も田舎者の良いキャラを出しています。
同じ新宿を舞台にした、キャリア崩れの、名前負けしてるような
軟弱男の物語よりは面白かったです。

北の狩人〈上〉
北の狩人〈上〉

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2006年10月16日

北の狩人〈下〉/大沢 在昌 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
ついに、北の国から来た男の正体と目的が分かった。その瞬間、新宿署の刑事だけでなく暴力団の幹部までもが息を呑んだ。「あの時の…」彼は十二年前に葬られた、ある出来事の関係者だったのだ。過去の秘密が次々に明かされていく。やがて彼は「獲物」を仕とめようと最後の賭けに出る。だがそこには予想だにしていない悲しい結末が待っていた。

北の国から来た男が、十二年前の事件の真相を探る。
それにより明らかになる驚愕の真相とは?
確かに、後半は主人公の影が薄くなるかも知れない。
しかし、刑事とやくざの奇妙な友情や、男としての生き様など、
新宿を舞台とした、男たちの非常な世界が描かれる。
読んで損は無い小説です。

ところで、解説にあった秋田県警の犬神刑事が活躍する秋田犬
シリーズ、もし書かれるならぜひ読んで見たいものです。

北の狩人〈下〉
北の狩人〈下〉
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2007年02月04日

無間人形―新宿鮫〈4〉 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
新宿の若者たちの間で、舐めるだけで効く新型覚せい剤が流行り出した。薬を激しく憎む新宿署刑事・鮫島は、執拗に密売ルートを追う。財閥・香川家の昇・進兄弟の野望、薬の独占を狙う藤野組・角の策略、麻薬取締官の露骨な妨害、そして、恋人・晶は昇の手に…。現代を代表する超人気シリーズ第4弾、直木賞受賞の感動巨編、待望の文庫版で登場。

冒頭、麻薬の売人との小競り合いで始まり、やがて鮫島の恋人晶が麻薬の
元締めの待ち受ける地方にツアーに行く事になる。
巧みな伏線です。
ラストまで読者はこの先どうなるかと、はらはらしながらページをめくる事になる。
エンターテイメント小説の王道を行くような構成。
大沢 在昌の「巧さ」が際立つ作品です。

ただ、同じ新宿を舞台にした「不夜城/馳 星周」を読んだ時のような
「凄さ」は感じられない。

無間人形―新宿鮫〈4〉
無間人形―新宿鮫〈4〉
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2007年02月05日

炎蛹―新宿鮫〈5〉 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
新宿署刑事・鮫島を、犯罪者は、恐れを込めて「新宿鮫」と呼ぶ。植物防疫官・甲屋は、外国人娼婦によって南米から日本に侵入した、“恐怖の害虫”の蛹を追っていた。羽化まで数日。蛹を追って、鮫島と甲屋は、危険と罠に満ちた闇に挑む!命をかけて熱く闘う男たちがここにいる。興奮と感動、圧倒する迫力!傑作長編刑事小説第5弾。

本作には農水省の植物防疫官である甲屋(かぶとや)と、東京消防庁の
吾妻という公務員が登場します。
なんだか、真保 裕一の小役人シリーズみたいですね。

今回の作品が過去の新宿鮫シリーズと違うのは、単独捜査を常としていた
鮫島が、植物防疫官の甲屋とコンビを組む事です。
甲屋というオッサンもなかなか良い味を出しています。

第二作の毒猿、第三作の屍蘭では魅力ある敵役作りに腐心していた作者が、
今回は鮫島のパートナーとして魅力あるキャラを出そうとしたようです。
このあたり、シリーズ物として読者を飽きさせない工夫をしているようです。

物語りの内容は、複数の事件が同時多発的に発生する中、鮫島と甲屋が
日本に持ち込まれた稲の害虫「フラメウス・プーパ」を探すと言う物です。
だけど、一つ一つの事件が小さく、盛り上がりに欠ける。
マネー・ロンダリングに関しては全貌が明らかにならず、主犯の男は影しか
出てこないなど消化不良気味です。
安定したストーリー運びで安心して読めるのだが、今ひとつパンチに欠ける
と感じた。

炎蛹―新宿鮫〈5〉
炎蛹―新宿鮫〈5〉
posted by まどか at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 大沢在昌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月21日

氷舞―新宿鮫〈6〉/大沢 在昌 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
西新宿のホテルで元CIAのアメリカ人が殺された。事件の鍵を握る平出組の前岡に迫る鮫島。しかし、なぜか公安警察が立ちはだかった。その背後には元公安秘密刑事・立花の影が。捜査の過程で鮫島は、美しく孤独な女・杉田江見里と出逢い、惹かれていく…。江見里と事件の関わりが浮上するなか、鮫島は“核心”に挑む。興奮と感動の傑作シリーズ第6弾。

今回の助演男優賞は鮫島の同期、香田警視正ですね。
第一作では類型的なキャリアとして、単なる敵役の扱いでしたが、
今回、より人間味を増しての再登場です。
カラオケで演歌を歌ったり、ゲイバーに呼び出される警視正殿には
涙しました。
このあたり、桃井課長の定年を前にして、新しいキャラを出して
おきたいという作者の思惑でしょうか。

物語の内容は、CIAに公安、さらには政界の大物が出てきたりと、
やや小ぶりだった前作から一転して、一気にスケールが大きくなります。
アクションあり、色恋あり、警察内部での暗闘ありと盛りだくさんの内容です。
巧みなストーリー運びでエンターテイメント作品として充分楽しめます。
ただ、丹沢でのアクションシーンは状況が少し判りづらかったですね。

氷舞―新宿鮫〈6〉
氷舞―新宿鮫〈6〉
posted by まどか at 02:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 大沢在昌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月23日

灰 夜/大沢 在昌 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
目覚めたとき、鮫島は闇に包まれた檻の中にいた―自殺した同僚・宮本の七回忌に彼の故郷を訪れた鮫島。宮本の旧友と会った直後、周囲で何かが動き出す。麻薬取締官、県警の刑事、地元の暴力団。その深夜、鮫島は拉致された―底知れぬ力の影が交錯する中、見知らぬ街で孤立無援の闘いが始まった!男の誇りと友情をかけた熱い怒りが弾けるシリーズ第7弾。

目が覚めたら檻の中にいた。
ぎゃはは、間抜けだね、鮫島クン。
新宿をねぐらにしている鮫島が、地方で事件に巻き込まれる。
今までの新宿鮫シリーズとはちょっと変わった展開。
作者のマンネリ対策でしょうか。

事件の内容は、暴力団、麻薬取締官、不良警察官、公安、
さらには北朝鮮まで出てきて、少し判りづらかったです。
地元のやくざが方言で話すのが妙に可笑しい。
ルビがふってあったから意味が判ったけど、実際に聞いたら
何言ってるのか良く判らないでしょうね。

前作で浮気をして以来、今回も鮫島の恋人「晶」は
ほとんど出てきません。
ただ、晶を外した事で、物語に幅が出たのは事実だと思います。
やっぱり、ハードボイルドの主人公が、一人の女にしばられてちゃ
いけないよね。

それにしても、宮本って人は迷惑な人ですよね。
死んでからも鮫島に迷惑をかけるなんて。

良いシリーズ物は、読み進めて行く内に、登場人物がまるで
長年の友人のように身近な存在として感じられていきます。
そこがシリーズ物の面白い所ですね。

灰 夜
灰 夜
posted by まどか at 02:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 大沢在昌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月12日

心では重すぎる/大沢 在昌 ★★★

出版社/著者からの内容紹介
心に比べれば、体なんて軽いものさ
失踪した人気漫画家の行方を追う探偵・佐久間公の前に、謎の女子高生が立ちはだかる。渋谷を舞台に現代を描ききった渾身の長篇

この作品、どこが面白いのだろう?
レビューを書こうとして悩んでしまった。

確かに漫画週刊誌におけるアンケート至上主義や、漫画家と編集者の
関わり等は良く書けていると思う。だけど、漫画界の内幕ならば、現在
では「消えたマンガ家」等の書籍が出版されており、その内容を知って
いる読者も多いのではないだろうか。

この作品には、漫画だけに限らず、ドラッグ、渋谷のチーマー、新興宗教、
自己啓発セミナー、ポルノにロリコン、果てはSMまで、様々なサブカルチャー
的要素が詰め込まれている。多くの題材を破綻無くストーリーに織り込んで
いるのは作者の力量だろう。だけど、それらはあくまで小説を構成する素材
であり、本当に作者が書きたかったのは、別の物であると思える。

作中で探偵を職業とする主人公「佐久間公」が、過去と現在の自分を
比較してみたり、出会った人に自分の探偵としての生き方をあれこれ
説明する。これは主人公である「佐久間公」と言うより、作者である
大沢在昌の「感傷」では無いだろうか。
解説で福井晴敏氏が指摘しているように、この作品は私小説に近い
内容である。

しかし、作者の「感傷」に読者が付き合う必要があるのか、疑問である。
あたしは、「重すぎる」と言うより、はっきり言って「ウザイ」と感じてしまった。

心では重すぎる 上 文春文庫
心では重すぎる  上 文春文庫


心では重すぎる 下 文春文庫
心では重すぎる    下 文春文庫
posted by まどか at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 大沢在昌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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