2006年04月23日

連鎖/真保 裕一 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
チェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品がヨーロッパから検査対象外の別の国経由で輸入されていた。厚生省の元食品衛生監視員として、汚染食品の横流しの真相究明に乗りだした羽川にやがて死の脅迫が…。重量感にあふれた、意外性豊かな、第三十七回江戸川乱歩賞受賞のハードボイルド・ミステリー。

重量感にあふれた、と言うより、硬いという印象を受けた。
文章も構成も硬い。
乱歩賞らしいと言えば乱歩賞らしい作品。
食品検査官の仕事や業界については良く調べられている。
ただ後半ストーリーが複雑になって判りにくい。
さわやかな読後感を狙った設定がミエミエで鼻につく。

連鎖
連鎖
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2006年05月02日

ホワイトアウト/真保 裕一 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間!荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救うために―。圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開で話題をさらった、アクション・サスペンスの最高峰。吉川英治文学新人賞受賞。

冬山版ダイハード。
テンポの良い文章と素早い展開で物語に引き込まれます。

ただ、人間を描くという部分では今一つ不満を感じました。
厳しい見方かも知れませんが、読んだ後心に残るものが薄いという感じです。
確かに主人公の自己復権にかける意気込みは、くどい程に感じます。
でも人間同士の係わり合いとなると、薄いと言わざるを得ません。
人間同士の関わりが書けているのは、犯人たちの葛藤や仲間割れくらいでしょう。
その中でも戸塚という犯人の造形は秀逸でしたが。

あと、犯人たちと警察とのやり取りも判りにくかったです。
色々文句を言いましたが、エンターテイメント作品としては充分楽しめる作品です。

ホワイトアウト
ホワイトアウト
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2006年05月19日

奪取〈上〉/真保 裕一 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。

面白い章立てです。出世魚のごとく、章毎にレベルアップしていくみたいです。
最初は裏物オタクみたいな青年が、得意の裏物知識を披露してくれます。
でも、鮮度が命の裏物情報は、小説になって出てくる時点ではもう完全に時代遅れになってます。ちょっとしらけました。
まあ読者の興味を引く事はできるかも知れませんが。

この小説を読んでる途中、何度もお札を手にとって、じっくりと眺めました。
普段何気なく使ってるお札に、様々な印刷技術が使われてるんだなとあらためて感心しました。

物語はユーモラスで、スピード感あふれる展開です。
どの章にもきっちりタイムリミットが設定されています。
限られた時間の中で、主人公たちが必死に偽札作りに励む様子には共感を覚えます。
ただ、偽札作りの工程は文章ではちょっと判りにくかったです。
図解でも入れて欲しかった所です。

大金入手まで後一歩と迫った主人公、意外な展開の連続、そして新たな仲間の出現。物語は一気に後半に突入します。

奪取〈上〉
奪取〈上〉
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2006年05月21日

奪取〈下〉/真保 裕一 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
ヤクザの追跡を辛うじて逃れた道郎は、名前を変え復讎に挑む。だがその矛先は、さらなる強大な敵へと向かい、より完璧な一万円札に執念の炎を燃やす。コンピュータ社会の裏をつき、偽札造りに立ち向かう男たちの友情と闘いを、ユーモアあふれる筆緻で描いた傑作長編。予想もできない結果に思わず息をのむ。日本推理作家協会賞・山本周五郎賞W受賞。

タイムリミットが迫る中で、仲間と共に必死に偽札作りに励む姿には、犯罪行為といえど共感を覚えた。

スピード感あふれ、ワクワクするような面白い小説なんだけど、結末は予想どおりになってしまった。
この手の話にありがちなパターンになってしまったのは残念。
作者のお遊びのようなエピローグは不要だと感じた。

とは言え、1000ページ近い作品を退屈させずに一気に読ませる作者の力量には脱帽する。読んで損はない小説です。

奪取〈下〉
奪取〈下〉
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2006年05月29日

黄金の島〈上〉/真保 裕一 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
「命の洗濯をしてこい。わかるな、修司」。所属する暴力団の権力抗争から幹部の恨みを買った坂口修司。バンコクへと身を潜めたが、待っていたのは謎の刺客だった。度重なる襲撃をかわし、逃げたベトナムでシクロ乗りの若者と出会う。はたして修司に安住の地などあるのか。手に汗握る迫真の国際サスペンス超大作。

海外に逃亡した日本のやくざと、日本に渡りお金を稼ぐ事を
目的とするベトナムの若者たち。
この二者がやがて出会い、物語は進展します。

日本人から見れば、日本はそれほど住みやすい国とは思えませんが、
一攫千金を夢見るベトナム人から見れば、「黄金の国」に見えるんでしょうか。
日本に来ても、あまり良い事は無いように思えますが。

グループを作りシクロをこいでお金を稼ぐ若者たち。
市民に因縁をつけて賄賂を巻き上げる警官。
夢を実現するため体を売る女たち。
異国でフィクサーとして活動する日本人。
日本で修司を外国に追いやる事になった女性とヤクザの幹部。

様々な人の思いが交錯し、やがて日本から逃げてきたヤクザの修司くんは、
ベトナムの若者たちに手を貸して日本を目指す事になります。
果たして下巻で彼らを待ち受ける運命やいかに。


ベトナム
ベトナム戦争

黄金の島〈上〉
黄金の島〈上〉
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2006年05月30日

黄金の島〈下〉/真保 裕一 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
逃亡者として人生を終えなければならないのか―。ベトナムで身を隠すヤクザの修司は、現地の若者たちと日本行きを謀る。が、汚れた警察や暗殺者が行く手を阻む。押し寄せる危機が修司たちを絶望の淵へと追い込んだ。荒れ狂う大海へと漕ぎ出した彼らの運命は…。感動のラストが待つアドベンチャー巨編。

いよいよ日本を目指して船出です。
物語はいつしか国際サスペンス超大作からアドベンチャー巨編に変貌を遂げます。

航海の途中、修司を信用できなくて軟禁してしまうベトナム人たち。日本の位置も知らず、ろくな操船技術も持たない彼らに一体何が出来ると言うんでしょうか。
でも、もしこれが白人と日本人という構図なら、やはり同じ事をしていたのでは無いかと思います。

クライマックスの台風発生、吹きすさぶ風雨の中、修司とベトナムの若者は今までのわだかまりを捨て、力を合わせて頑張ります。
このあたりは迫力有る描写で、まさにアドベンチャー巨編と言って恥じない内容です。

そして嵐を乗り切り、ついに夢にまでみた日本へ到着。
そこで待っていたのは厳しい現実。
ベトナム人が愚かなのか、日本人が愚かなのか、考えさせられました。

この小説には登場人物が多数出てきます。
一人一人が丁寧に書き込まれ、バー「ブルーム」の支配人、甲村など、渋い脇役も配されてます。
でも、その分物語が発散してしまった気がします。

ベトナム組みと日本組み、二つの流れがあるのも、どっちつかずの中途半端です。どちらかをメインとした方が、小説としてはまとまったのでは無いでしょうか。

黄金の島〈下〉
黄金の島〈下〉
posted by まどか at 08:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 真保 裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月12日

防壁/真保 裕一  ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
警視庁警護課員として佐崎が警護する政府要人が襲撃された。凶弾に倒れたのは同僚のSP、義兄でもある大橋だった。狙撃犯は誰か。佐崎の脳裏に浮かんだ予想外の人物とは!?圧倒的なディテイルとリアリティで描く日本の要人警護の実態。生命の危険を顧みず、自らの誇りを懸けて任務に就く男たちの物語。

警視庁警護課員、海上保安丁特殊救難隊員、自衛隊不発弾処理隊員、消防隊員。
ちょっと変わった、そして危険を伴う職業の男達を書いた四つの短編集。
これは同時に、彼らに付き合う恋人や妻といった女達の物語でもある。
一篇だとちょっと物足りないかも知れないが、四篇まとめて読むと、底に流れるテーマのようなものが見えてくる気がする。

防壁
防壁
posted by まどか at 19:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 真保 裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月28日

奇跡の人/真保 裕一 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
31歳の相馬克己は、交通事故で一度は脳死判定をされかかりながら命をとりとめ、他の入院患者から「奇跡の人」と呼ばれている。しかし彼は事故以前の記憶を全く失っていた。8年間のリハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家にひとり帰った克己は、消えた過去を探す旅へと出る。そこで待ち受けていたのは残酷な事実だったのだが…。静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。


前半は事故で記憶を失った主人公が、8年間のリハビリ生活の末、
病院を退院し、職を得て自活するまでが描かれる。
病院での仲間たちとのふれあい。
最初は誤解されながらも、隣人と理解を深めて行く様子。
先輩や同僚たちの指導により職場になじんで行く主人公。
母の手記を挟みながら、これらの物語が語られる。

いい話です。
いい話ではあるが、物足りない。

もちろん、これで済むはずがありません。
やってくれます、この主人公。
それはもう、読者の期待以上にやってくれます。

過去を探すために東京に旅立った主人公。
そこで出会った昔の仲間たち。
嘘をつく事を覚え、嘘に嘘を重ねる主人公。
いい人だった主人公が、どんどん自己中心的な人間に変貌して行きます。
知恵がつくことは、悲しいことだと思わざるを得ません。
やがて昔の仲間を利用し、あげくにストーカー行為にまで発展します。

もうそれくらいでやめときなよ。
田舎に帰ろうよ。
そう思わずにはいられませんでした。

後味は悪いです。
最後の落ちも強引。

奇跡の人
奇跡の人
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2006年10月17日

震源/真保 裕一 ★★

内容(「BOOK」データベースより)
地震で津波が発生し、警報が遅れる事故が起こった。地震火山研究官の江坂は、ミスをした森本を鹿児島に訪ねるが、彼はすでに退職し姿を消していた。同じ頃、森本と同窓の大学教授も、地震の観測データを持ったまま、行方不明に。そこには国家的陰謀が渦巻いていた!新進気鋭の作家が放つ、長編サスペンス。

失踪した同僚を捜し求める地震火山研究官・江坂。
その過程で、やがて巻き込まれる国家的陰謀。
何故そこまでして失踪した同僚を捜し求めるのか、理解に苦しむ。
人にはそれぞれ事情があるんだから、そっとしといてあげれば良いのに。
執拗に同僚を探し求める主人公には、感情移入できないと言うより、
違和感を感じた。

主人公が巻き込まれる国家的陰謀とやらも判りにくい。
終盤二転三転し、しかも完全に事件の決着は付いていない。

確かに専門分野の知識など、緻密に取材しているんだろうけど、
面白い話を書こうとして力みすぎている印象を受けた。
評価は厳しく★★

震源
震源
posted by まどか at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 真保 裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月04日

朽ちた樹々の枝の下で/真保 裕一 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
妻を事故で失い札幌を離れ森林作業員となった男が、自衛隊演習場と隣接する夜明け前の森で救出した女性は、謎を残し病院から逃亡する。女性を捜し真実を突き止めることに己れの再起をかけ調査を始めた直後、落とし穴などの罠が仲間を襲う…。北海道を舞台に独り闘う男の葛藤と勇姿を描くサスペンス大作。

いかにも真保裕一らしい作品である。
森で偶然出会っただけの女性を、ストーカーの如く追い求める
ストーリーの強引さに読者が違和感を持とうが、ラストで真相
がウヤムヤのまま終わり、欲求不満に陥ろうが、そんな事は
大した問題では無いのである。

真保先生にとって重要なのは、無知な読者に自分の調べてきた
専門知識を披露する事と、大好きなキャラクターである、過去に
傷を持ちウジウジ思い悩む男を、思う存分書き込む事である。
それが叶えられれば、もうそれで満足なのであろう。

なんて事を想像して読むと、この作品も少しは面白くなるのかも
知れない。

朽ちた樹々の枝の下で (講談社文庫)
朽ちた樹々の枝の下で (講談社文庫)

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posted by まどか at 04:00| ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 真保 裕一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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