2006年04月09日

破線のマリス/野沢 尚 ★★★☆☆

内容(「BOOK」データベースより)
首都テレビ報道局のニュース番組で映像編集を担う遠藤瑤子は、虚実の狭間を縫うモンタージュを駆使し、刺激的な画面を創りだす。彼女を待ち受けていたのは、自ら仕掛けた視覚の罠だった!?事故か、他殺か、一本のビデオから始まる、超一級の「フー&ホワイダニット」。第43回江戸川乱歩賞受賞の傑作ミステリ。

テレビ業界の内幕物としてはそれなりに読めるが、ミステリーとしては半端な作品。超一級の「フー&ホワイダニット」なんて宣伝しておきながら、最後まで殺人事件の犯人も動機も不明なままとは、どういう事ですか?

そもそも、この作品に殺人は不要です。あえてミステリーにする必要性を感じません。

主人公はテレビ局に勤める映像編集者です。単なる技能者にしかすぎない主人公の作った映像を、ディレクターやプロデューサーのチェックもなしに、報道番組としてそにまま電波に乗せると言うのは、普通の会社ではちょっと考えられません。テレビ局の実態はこんなものなんでしょうか。

ちなみに、「マリス」とは、送り手が意図的もしくは無意識に報道に潜ませる悪意や作為の事。「破線」とは、テレビの走査線の事です。

前年の乱歩賞候補作「魔笛」でも感じましたが、この作者はシナリオライター出身で文書力があり、映像的な作品を特徴とします。本作は映像そのものをテーマにすえてきました。でも小説としてはイマイチだと思います。

破線のマリス
破線のマリス
posted by まどか at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 野沢 尚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月11日

魔笛/野沢 尚 ★★★★☆

内容(「BOOK」データベースより)
白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は実行犯の照屋礼子を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。迫真の野沢サスペンス。

盛りだくさんの内容で、おいしい要素てんこ盛りの小説。
ちょっと詰め込みすぎの印象あり。
犯人の一人称神様視点にも違和感を感じる。
登場人物にも、通常だったら有り得ないと思われる設定がある。

そんな欠点もありますが、なんと言ってもこの作品はダイナミックなストーリー展開と抜群の描写力で読者をぐいぐい引き込みます。
特に終盤の盛り上げ方は見事。
良く出来た映画や劇画を見ているようです。

この作品は第42回江戸川乱歩賞の最終候補作に残ったが、実在の宗教団体の起こした事件を背景にしている事や、設定の強引さから、結局受賞するのは他の作品となりました。

受賞した作品は、良く言えばそつの無い、悪く言えば凡庸な作品であり、小説としては明らかにこの作品の方が勢いがあり面白かったです。

魔笛
魔笛
posted by まどか at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 野沢 尚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月10日

深紅/野沢 尚 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。

第一章では、主人公が修学旅行先から事件の知らせを受け、教師と共に家族の安置されている病院に行くまでが克明に描かれる。主人公の心理描写は、この作者でなければ書けないような緊迫感あふれるものである。

第二章では、犯人の上申書という形で犯行の様子が語られる。そこでは、必ずしも被害者である父親が良い人間ではなかった事が明かされる。

そして、第三章以降、犯人にも同じ年の娘がいる事を知った主人公が、身分を隠して犯人の娘に接近していく。いったい主人公は何をするつもりなのか。じりじりした緊張感が盛り上がる。

が、終盤で今ひとつ盛り上がりに欠けた。結局主人公は何をしたかったのか良く判らないまま終わってしまった。
この作者の作品を何作か読んだが、描写力は優れるものの、一遍の小説としてみると、いずれもバランスの悪さを感じた。
深紅
深紅
posted by まどか at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 野沢 尚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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