2006年04月06日

亡国のイージス/福井 晴敏 ★★★★★

この本を読んだのはちょっと前ですが、昨今の出版界で、この作家の作品の話題は外せないと思います。スケールの大きな作品です。日本にもこんな作品を書く作家がいたのかと驚きました。ハリウッド映画的な内容ですが、この作者自身も自分の作品はステーキ丼だと言ってるように、どこか日本らしさも感じます。登場人物が多数出てきますが、一人一人深く人間性を描き込んでいます。それぞれの思惑を乗せて、国家に反旗を翻した護衛艦「いそかぜ」は終局に向かって突き進みます。ぜひ読んでみて下さい。
亡国のイージス 上  講談社文庫 ふ 59-2 亡国のイージス 下  講談社文庫 ふ 59-3
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2006年04月08日

川の深さは/福井 晴敏 ★★★★☆

この作家の処女作です。
第43回江戸川乱歩賞の最終選考に残り、野沢 尚の「破線のマリス」と最後まで激しく争い惜しくも落選した作品。乱歩賞受賞は翌年の「twelve Y.O.」まで待たねばなりませんでした。

テレビ業界の内幕物としては秀逸ですが、ミステリーとしては最後まで殺人事件の犯人も動機も不明なままの「破線のマリス」より、この作品の方が荒々しくも熱気にあふれ、心惹かれるものがありました。もっともこの作品もミステリーというよりは冒険小説ですが。

そんな野沢 尚も、前年の候補作「魔笛」は、抜群の描写力とダイナミックなストーリー展開で大いにワクワクさせられる作品でしたが、受賞したのは他の凡庸な作品でした。このあたりに因縁めいたものを感じます。

さて、前置きが長くなりました。
処女作には、その作家のエキスが最も色濃く反映されると言われますが、まさにその通りです。

「彼女を守る。それがおれの任務だ」と、傷だらけになりながらも愛する女性のため一人で強大な権力に牙をむく保。そんな保と出会い、彼を助ける事を決意する元刑事で、今はグータラ警備員の桃山。

自閉症気味で生硬な青年と、過去を背負い人生に疲れた中年という組み合わせは以降の作品に共通して見られるパターンです。世代も立場も考え方も違う二人がぶつかり合いドラマは進行します。

やや癖の有る文章で、作者の主張が鼻につく部分もあります。ストーリーには、反主流派がテロまで起こすか? とか、最後に護衛艦に突入してまで止める必要があったのか? 等の疑問点もあります。

でも、この作品にはそんな事を吹き飛ばすような、圧倒的な迫力でたたみこんでくるパワーがあります。熱い作品です。ぜひ一度読んでみて下さい。

川の深さは
川の深さは

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2006年04月14日

終戦のローレライ〈1〉/福井 晴敏 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
昭和二十年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第22回吉川英治文学新人賞受賞。

太平洋戦争の終戦を舞台にしたガンダムです。
主人公はガンダムやガンンタンクの代わりに、特殊潜航艇「海龍」や「ナーバル」に乗って活躍する。戦利潜水艦・伊507はさしずめホワイトベースといった所。

一兵卒が艦長の作戦に口出ししても、もちろん許されます。
なんたってガンダムなんだから。
真面目な戦記物として読むと少々期待を裏切られます。

だけど、そこは福井作品、例によって登場人物を一人一人丁寧に書き込み、作者の主張もたっぷりです。
エンターテイメントとしては充分楽しめます。

第一巻では、海軍のはみだし者たちが集められ、ナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507に乗り組み出航するまでが描かれます。

はたして彼らの目的は、そして特殊兵器・ローレライとは何か?
壮大な物語の始まりです。

終戦のローレライ〈1〉
終戦のローレライ〈1〉
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2006年04月15日

終戦のローレライ〈2〉/福井 晴敏 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
この国に「あるべき終戦の形」をもたらすと言われる特殊兵器・ローレライを求めて出航した伊507。回収任務に抜擢された少年兵・折笠征人は、太平洋の魔女と恐れられたローレライの実像を知る。米軍潜水艦との息詰る死闘のさなか、深海に響き渡る魔女の歌声がもたらすのは生か死か。命の凱歌、緊迫の第2巻。

米潜水艦の妨害にもめげず、特殊潜航艇ナーバルにたどり着いた折笠征人が見たものは?

五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライ、その驚愕の正体が明らかになります。
ただ、ローレライは潜水艦で使うより、防諜で使った方が効果があるような気がします。

米潜水艦との息詰る死闘、潜水艦物の定番である、蓄電池からの有毒ガスも、もちろん発生します。

はたして、「しつこいアメリカ人」の追撃をかわす事ができるのか?

シュルクーフ(Wikipediaより)

終戦のローレライ〈2〉
終戦のローレライ〈2〉

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2006年04月16日

終戦のローレライ〈3〉/福井 晴敏 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
その日、広島は核の業火に包まれた。人類史上類を見ない大量殺戮の閃光が、日本に定められた敗北の道を歩ませ、「国家としての切腹」を目論む浅倉大佐の計画を加速させる。彼が望む「あるべき終戦の形」とは?その凄惨な真実が語られる時、伊507乗員たちは言葉を失い、そして決断を迫られた。刮目の第3巻。

戦争の悲惨な実態が赤裸々に語られる第三巻。
「あるべき終戦の形」とは?
「国家としての切腹」とは?
そして、伊507乗員たちの下した決断とは?

物語りもいよいよ佳境です。

終戦のローレライ〈3〉
終戦のローレライ〈3〉
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2006年04月17日

終戦のローレライ〈4〉/福井 晴敏 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
「ローレライは、あなたが望む終戦のためには歌わない」あらゆる絶望と悲憤を乗り越え、伊507は最後の戦闘へ赴く。第三の原子爆弾投下を阻止せよ。孤立無援の状況下、乗員たちはその一戦にすべてを賭けた。そこに守るべき未来があると信じて。今、くり返す混迷の時代に捧げる「終戦」の祈り。畢生の大作、完結。


長かった物語もいよいよ終盤です。
伊507は第三の原子爆弾投下を阻止するため、
待ち受ける米国艦隊にたった一隻で戦いを挑みます。

戦闘シーンは、もろに「沈黙の艦隊」のパクリです。
とはいえ、「沈黙の艦隊」にも、「レットオクトーバーを追え」
をパクった戦闘シーンがありました。
トム・クランシーは偉大だと言うことでしょうか。

最後は昭和歌謡ショーで締めくくりです。
生き長らえたパウラが嫁にいじめられる姿には涙しました。
こんな平凡な日常を守るために伊507の乗り組み員は戦ったのでしょうか。
若い二人が手に手をとって、日本を目指して旅立つ、
ここで物語が終わっても良かったような気がします。

何はともあれ、感動のフィナーレです。

終戦のローレライ〈4〉
終戦のローレライ〈4〉

posted by まどか at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 福井 晴敏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月21日

Twelve Y.O./福井 晴敏 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
沖縄から米海兵隊が撤退した。それは米国防総省が、たった一人のテロリストに屈服した瞬間だった。テロリストの名は「12」。最強のコンピュータウィルス「アポトーシス2」と謎の兵器「ウルマ」を使い、米国防総省を脅迫しつづける「12」の正体は?真の目的は?圧倒的スケールの江戸川乱歩賞受賞作。

話を大きく広げすぎた。
その分、前年の乱歩賞候補作「川の深は」より小説としての感動は少ない。

登場人物も多すぎる。
乱歩賞のページ数の制約だろうが、一人一人の書き込みが浅い。
「ウルマ」、「キメラ」、「BB文書」、「GUSOH」等小道具ばかり出てくる割には、現実感のない少女戦闘員とか、存在感の希薄な、傍観者のような主人公となってしまった。
中途半端な作品になってしまったのは残念。

Twelve Y.O.
Twelve Y.O.
posted by まどか at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 福井 晴敏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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