2009年06月01日

俺は鰯/鳴海 章 ★★★

鰯。大きな魚の餌になるしかない。
大量に群れている。
生まれた時から餌になる事を運命づけられている。
その他大勢に過ぎない。

主人公の勤めていた会社の社長が言った言葉である。

サラリーマンなら、誰でも思い当たる事があるのではないだろうか。
主人公の高城は十年間勤めた会社を辞め、たった一度風俗店で
出会った慧敏と名乗る女性に恋をする。そしてこの女性と出会った
事から事件に巻き込まれる。

高城自身は普通の男で、ハードボイルドの主人公らしく喧嘩が強い
訳では無い。ただ、それを補う脇役に助けられているだけである。

この作品を読んで、悪役の書き方がイマイチという気がした。物語
の鍵となる陶器の価格が人によってまちまちである。それが陶器の
世界では常識なのかも知れないが、悪役のボスが何故陶器にそこ
まで拘るのか良く判らない。また、慧敏の行動もふに落ちない所が
あった。

サラリーマンの悲哀は良く書けていると思う。作者の経験が反映
されているのではないだろうか。また、台湾の様子も取材の成果
が伺われる。ハードボイルド作品としては少し異色の主人公だが、
それなりに退屈しないで読める。ただ、やはりハードボイルドには
タフな主人公が似合うとも思う。

俺は鰯 (角川文庫)
俺は鰯 (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
日々自分を酷使していた。休日は惰眠をむさぼるか、洗濯でつぶれる。十年間勤めた会社を高城はあっさり辞めた。池袋にある性風俗の店で高城は慧敏と名乗る女性に出会い、恋をした。デートの日、約束の時間に現れたのは三人の男達だった。高城は滅茶苦茶になるまで彼らに殴られた。そして慧敏が姿を消した。慧敏の行方を知る手掛りは新宿の台湾バーと日本橋の古美術商『蒼龍窟』―。平凡という名の仮面を脱ぎ捨てた男が幻の陶器と謎の美女を求めて命を掛ける。東京―台湾を舞台に壮大なスケールで展開する傑作冒険小説。

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posted by まどか at 03:22| ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 鳴海 章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月15日

アキハバラ@DEEP/石田 衣良 ★★★★

社会不適合者みたいな6人の男女が、画期的なAI型検索エンジン
を開発する。現代のおとぎ話ですね。マイクロソフトを創業したビル・
ゲイツはハーバード大学の学生だったし、Googleの創立者たちは
スタンフォード大学の博士課程に在籍していた。オタク的要素はあっ
たとしても、決して社会不適合者ではない。それどころか、エリート
層に属していたと言って良い。ちなみに、本作の主人公の一人で
あるページと言う名前は、Google創立者の一人、ラリー・ペイジと
同名である。

検索エンジンという目の付け所は良いと思う。検索エンジンを征する
と言う事は、ネットの世界を征するも同然と言って良い。サイトにアク
セスを集めるには、サイトの質的優劣では無く、検索エンジンに上位
表示されるかにかかっている。

言わばサイトの殺生与奪権を検索エンジンが握っているのだ。
Googleの検索アルゴリズムであるPageRankを上げる為に、企業が
金と人手をかけてバックリンクを構築しているのが現状である。
本作では、利用者から定額課金をすると言っていたが、そんな必要
は無いのである。金はサイト管理者からいくらでも集められる。

この作品は、おとぎ話と割り切れば、それなりに退屈しないで読める。
登場人物も個性豊かであり、秋葉原の情景など思い浮かべながら
読む事が出来る。ただ、ラストの展開はあまりにも芸が無い。
ページ(と言うか、作者)にはもう少し考えて欲しかった。

あと、作品タイトルの@DEEPというのは違和感がありますね。大昔の
メインフレームじゃないんだから、普通は小文字で@deepでしょう。
それと、インターネット上に介在するプログラムをマシン語で書くかな、
と言う気がします。

アキハバラ@DEEP (文春文庫)
アキハバラ@DEEP (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
社会からドロップアウトした5人のおたく青年と、コスプレ喫茶のアイドル。彼らが裏秋葉原で出会ったとき、インターネットに革命を起こすeビジネスが生まれた。そしてネットの覇権を握ろうとする悪の帝王に、おたくの誇りをかけた戦いを挑む!TVドラマ、映画の原作としても話題の長篇青春電脳小説。

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2009年06月17日

償い/矢口 敦子 ★★

『償い』というタイトルから、社会派ミステリーと思って読んだら、
とんでもない目に合った。
作者の言いたい事は判るのだが、作品を構成するミステリーと
しての要素が、あまりにも稚拙である。

ホームレスに刑事が捜査情報を教えたり、警察署長が現場の
聞き込みをするなど、現実には有り得ない内容。
そして偶然の要素が多すぎる、ご都合主義の展開。
連続殺人にも、統一感が無い。

子供だましと言ったら、子供に失礼だろう。

償い (幻冬舎文庫)
償い (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
36歳の医師・日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、ホームレスになった。流れ着いた郊外の街で、社会的弱者を狙った連続殺人事件が起き、日高はある刑事の依頼で「探偵」となる。やがて彼は、かつて自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑い始めるが…。絶望を抱えて生きる二人の魂が救われることはあるのか?感動の長篇ミステリ。

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2009年06月25日

シャドー・エコー/鳴海 章 ★★★

ニューヨーク発、アンカレッジストップオーバー、成田行き、だってさ。
初っ端から笑わせてくれますね。ストップオーバーって言葉の意味、
作者は知らないみたいですね。ストップオーバーって言うのは乗継
地点に24時間以上滞在することを指すんですよ。アラスカに一泊
するんですか。

別にあたしは航空ヲタと言う訳ではありません。でも、何回か海外
旅行をしていれば自然にそれくらい覚えてしまいます。軍事知識
なら煙に巻かれてしまう所かも知れませんが、初歩的な知識に誤
りがあるようなら、肝心の軍事知識にも疑問が湧いてきます。

最新の極秘兵器とか言ってるのに、磁気ドラムを搭載しているよう
ですからね。磁気ドラムなんて、教科書の中でしかお目にかかった
事ありませんよ。ゴジラの映画で科学者がコンピュータから吐き出
された紙テープを読んでるようなものです。

作者は江戸川乱歩章を『ナイト・ダンサー』で受賞し、航空小説の
第一人者と言われているようですが、如何にこの分野の層が薄い
かが良く判ります。内田幹樹氏が亡くなってしまったのがとても
残念です。

作品の内容ですが、何がなんだか良く判らないと言うのが素直な
感想です。大韓航空機撃墜事件をモチーフにしているんだろうけど、
結局それらしい話を書きたかっただけではないのでしょうか。

シャドー・エコー (講談社文庫)
シャドー・エコー (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
完全ステルス、多くの戦闘機・爆撃機を空中指揮するアメリカ空軍の極秘兵器「シャドー・エコー」。あまりに建造費用がかかるため、開発が中止されたはずの空飛ぶ電子要塞が、大統領さえ知らぬ間に、日本・ロシア国境へ忍びこんだ。日米ロ三国にまたがる国際謀略戦を乱歩賞作家が壮大なスケールで描き出す。

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posted by まどか at 04:46| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鳴海 章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月30日

今月の読書記録

今月レビューを書いた作品は4作でした。
ちょっとペースが落ちてます。
来月はもっと多くのレビューが書けるように
頑張ります。

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posted by まどか at 21:35| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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