2009年02月16日

無明剣、走る/西村 京太郎 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
五代将軍綱吉の治世。幕閣の柳沢吉保と酒井但馬守の争いに巻き込まれた阿波藩二十五万石は、江戸家老の謀略によってさらなる窮地に。藩存亡の危機に立ち上がった若き剣客荒木田隼人、闇の棟梁・仏の源十郎らは、阿州剣山に眠る伝説の埋蔵金を死守するため一路徳島へ!国民的ミステリー作家が壮大なスケールで贈る、手に汗握るこれぞ時代小説の傑作。

西村京太郎氏と言えばトラベルミステリーが有名だが、初期の
頃は様々なジャンルの作品を書いていた。この作品は時代劇
である。西村氏の作品はほとんど読んでいるが、この作品は
まだ読んでいなかった。

物語は阿波藩のお家騒動に始まり、江戸から四国への旅、そ
して剣山での宝探しと、スピーディーな展開を見せる。いずれも
一癖ありそうな、魅力的な登場人物たちが次々に現れ、ドラマを
盛り上げる。

陰謀、謀略、恋、宝探しと様々な要素を盛り込み、また写楽を
登場させるなど、サービス精神に富んだ時代活劇として充分に
楽しめる作品である。

無明剣、走る (祥伝社文庫)
無明剣、走る (祥伝社文庫)

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2009年02月17日

1985年の奇跡/五十嵐 貴久 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
おニャン子に夢中だったあの頃。僕らの弱小高校野球部にスゴイ奴がやってきた!『夕やけニャンニャン』を見ること以外何のヤル気もない僕らが、アイツのおかげでひょっとしたら甲子園に行けるかも!ってマジ!?―山あり谷あり、笑いあり涙ありでページをめくる手が止まらなくなる青春小説の傑作だ。

面白いです、この作品。思わず一気に読み切ってしまった。
受験指導に力を入れる高校にやってきた転校生が、弱小野球
部に入り天才的なピッチングを披露する。しかし、彼には隠され
た秘密があった。

漫画的であり、現実には起こり得ないと判っていても、物語に
ぐいぐい引き込まれる。1985年を舞台とし、『夕やけニャンニャン』
や『おニャン子クラブ』等の時代背景が効果的に使われている。

規制だらけの、まるで中学校のような高校生活や、野球部員の
ダメダメぶりなど、思わず自分の高校時代を思い出してしまう。
中川という校長や、女子マネージャーの真美など、脇役のキャラ
クターも良く描けているし、ラストのトリックや、その伏線もうまく
利いている。娯楽作として文句無く楽しめる作品である。

1985年の奇跡 (双葉文庫)
1985年の奇跡 (双葉文庫)

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2009年02月18日

機長からアナウンス/内田 幹樹 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
旅客機機長と言えば、誰もが憧れる職業だが、華やかなスチュワーデスとは違い、彼らの素顔はほとんど明かされない。ならばと元機長の作家が、とっておきの話を披露してくれました。スチュワーデスとの気になる関係、離着陸が難しい空港、UFOに遭遇した体験、ジェットコースターに乗っても全く怖くないこと、さらに健康診断や給料の話まで―本音で語った、楽しいエピソード集。

元ANAの機長が書いたエッセイ。航空業界に興味がある人には
それなりに面白く読めるだろう。しかし、書き込みが浅く、ただの
内輪話のようになってしまった部分もあり、若干物足りなさを感
じた。

それに、エッセイに自作の小説を挿入するという手法はいかがな
ものだろうか。本末転倒という気がする。まあ、それだけ内田氏
の小説にはリアリティーがあると言う事なのだが。

機長からアナウンス (新潮文庫)
機長からアナウンス (新潮文庫)

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2009年02月19日

機体消失/内田 幹樹 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
百億円相当のコカインを、小型機で密輸しようとする犯罪グループ。沖縄・下地島の自然に抱かれ疲れを癒す、ふたりのパイロット。結びつくはずのない両者が出会ったとき、事件は全貌を現した。激しい台風の中、忽然と姿を消したセスナの謎。そして、追いつめられた男たちによる訓練用ジャンボ機のハイジャック。世界一不運な副操縦士・江波順一は、恐るべき難局を打開できるのか。

元パイロットの書く本格的航空サスペンス、のはずなのだが、
本作では沖縄の下地島で暮らすサキというキャラクターに
喰われたという印象がある。サキという人物は、それだけ魅力
のあるキャラクターと言えるのだが。

自然のままに暮らすサキの姿を見ると、もう麻薬の密輸も、ハイ
ジャックも、どうでもいいやと思ってしまう。航空サスペンスを期待
して読むと、やや中途半端であり期待を裏切られる。

ちなみに、前作の『パイロット・イン・コマンド』の続編という位置
づけであり、主人公の江波を始め、一部の人物もそのまま登場
する。本作を読む前に『パイロットインコマンド』を読んでいた方が
良いだろう。

機体消失 (新潮文庫)
機体消失 (新潮文庫)

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2009年02月20日

シベリア鉄道殺人事件/西村 京太郎 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
新宿で殺された外国人娼婦の部屋に落ちていた商社マンの名刺。名刺にあったその部署にはソ連邦崩壊後のロシアに狙いを定めた連中が集まっていた。事件を捜査する十津川警部に警視総監からロシア行きの密命が下る。モスクワへ向うシベリア鉄道の車中で起こる殺人と国際謀略の渦に十津川の戦いが始まる。

西村京太郎氏お得意のトラベルミステリー。しかし本作では
日本国内ではなくロシアのシベリア鉄道が舞台となる。
トラベルミステリーと言うより、国際謀略小説を言った方が
内容的には合っているかも知れない。

シベリア鉄道と言えば、鉄道ファンなら誰でも一度は乗って
見たいと思っているのでは無いだろうか。1992年にウラジオ
ストックが対外開放されたため、外国人旅客もシベリア鉄道
全線の乗車が可能となった。この作品はその翌年に刊行さ
れたものである。

しかし、警視総監の密命とはいえ、警視庁捜査一課の十津川
警部がロシアまで行くのはいささか無理があるような気がする。
そもそも、ロシアの科学者の他国への流出という問題は警視庁
の管轄なのだろうか。十津川警部をロシアに派遣するに当たっ
て、作者はかなり無理をしていると思った。

さらにもう一点、タイトル通りこの作品はシベリア鉄道が主な
舞台になるのだが、意地でもシベリア鉄道を舞台とするかの
ように、飛行機を欠航させたりして、お約束通りハバロフスク
からモスクワまで、関係者全員がシベリア鉄道で旅をする。

国内で起きた殺人事件との繋がりや、十津川警部派遣の経緯
など、かなり設定に無理のある作品ではあるが、ペレストロイカ
後のロシアやシベリア鉄道の道中など、取材の成果が伺える。
国際謀略をテーマとしたサスペンス小説として、また、シベリア
鉄道を扱った作品として、楽しめる作品である。

シベリア鉄道殺人事件 (講談社文庫)
シベリア鉄道殺人事件 (講談社文庫)

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2009年02月26日

撃つ薔薇―AD2023涼子/大沢 在昌 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
AD2023年、東京は組織犯罪が凶悪を極めていた。警視庁は潜入捜査専門の特殊班を新設、謎の麻薬組織への長期潜入を「涼子」に指令した。巧妙に潜入した彼女を待つ、組織内での殺人、対立組織との抗争、狡猾な罠。敵は、味方は、組織のボスの正体は?そして絶望的状況の彼女を救う愛の行方は!?迫力と哀切の長編ハードボイルド。

2023年といえば、少し前ならSFとして語られた年代だろう。それが
本作では近未来物として書かれている。実際に、2023年まであと
10数年しかない。時の経つのは早いものである。

警視庁の潜入捜査官「涼子」が麻薬組織に潜入するのだが、その
取っ掛かりとして、麻薬輸送中のトラックを強奪するトラック
ジャック犯の捜査を行う。時代は未来なのだが、やっている事は
西部開拓時代の幌馬車強盗と変わらなかったりする。別に未来で
無くとも、現代でも、江戸時代でも、物語としては成立しそうな
内容である。

とは言え、誰が敵で誰が味方か判らない中で、麻薬組織に入り込
んだスパイを追う展開はスリリングで、大沢氏のストーリー運びの
巧さが光る。ただ、社長の境遇や叔父様の正体には想像がつい
てしまうのだが。

ハードボイルドとしてみると不満がある。単に銃や車を出せばハー
ドボイルドであると言う物では無い。ハードボイルドの主人公には
何よりタフな精神が必要なのである。犯罪者にちょっといたぶられ
ただけで、腰が引けてしまい、小鳥のようにさえずり出す精神面の
弱さは叔父様譲りなのだろうか。血は争えない物である。

撃つ薔薇―AD2023涼子 (光文社文庫)
撃つ薔薇―AD2023涼子 (光文社文庫)

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2009年02月28日

こんばんは

今月レビューを書いた作品は6作でした。
面白かったのは、『1985年の奇跡/五十嵐 貴久』ですね。
来月も頑張ってレビューを書きたいと思います。

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