2008年12月01日

土俵を走る殺意/小杉 健治 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
大関大龍が横綱推挙を辞退!前代未聞の事態に世間は騒然となった。酒癖が悪く品位を保つ自信がないとは上辺の弁明に過ぎない。その奥に隠された驚くべき真実とは…。昭和四十二年、輝かしき高度経済成長の真只中。しかし、繁栄の裏には様様な不正があった。中学卒業後、東北の田舎から角界入りした一力士の動向が戦後日本の闇を焙り出す。社会派ミステリーの傑作。

面白いです、この作品。
数少ない相撲を題材としたミステリーです。

迫力ある相撲の取り組みシーン。特にライバルである富士穂高
の造形が生きている。勝負以外に何かを求めるその姿は、現在
の角界では、タイプこそ違うが、千代大海に通じる物があるの
ではないだろうか。
もっとも、千代大海が求めているのは、「笑い」なんだけどね。

物語は昭和30年代から40年代を舞台とする。集団就職で上京
してきた三人の若者を軸に物語りは展開する。大相撲の世界
に入り順調に出世を重ねる主人公の大輔に対し、武男と由子
はそれぞれの事情を抱え、不本意な生活を送る事となる。
そこに過去の事件を執拗に追う元刑事の村尾がからんでくる。

ミステリーとしての要素は弱いかも知れない。ミステリーとして
読むより、三人の若者の青春物語として読むべきだろう。
ただ、最後には意外なサプライズが仕掛けられている。

この作品は1989年に刊行されたものであるが、今読んでも
全く古さを感じさせない。作品の中で提起されている山野の
ドヤ街や、日雇い労働者に対する企業の搾取などは、ネット
カフェ難民や格差社会といった現代にも通じる問題である。

相撲ファンにも、そうで無い人にも、ぜひ読んでみて欲しい
作品である。

土俵を走る殺意 (光文社文庫)
土俵を走る殺意 (光文社文庫)

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2008年12月03日

セカンド・サイト/中野 順一 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
キャバクラのボーイ・タクトは、店のナンバーワン・エリカにストーカー退治を依頼され、また気になる存在の新人キャスト・花梨に他人の近未来を知る不思議な力が備わっているのを知る。エリカが何者かに殺害され、独自の調査を進めるタクトは、「夢丸」と呼ばれるドラッグの存在を知る。第20回サントリーミステリー大賞受賞作。

キャストと言われる女性たち、男性従業員、そして店に通う客
など、キャバクラという世界に集う人たちの生態は良く書けて
いる。主人公タクトのキャラクターも立っている。
ただ、その行動や性格には、過去にピアノ奏者だったと言われ
ても違和感があった。

ミステリーとして見ると、犯人がやや唐突な印象を受ける。
もう少し序盤からそれらしい行動など、伏線を張っておくべき
ではないだろうか。途中まで、実は花梨が犯人ではないかと
思って読んでたんだけどね。

この作品を読むと、キャバクラに行ってみたくなるかも知れない。
あたしは女の子だから行かないけどね。

セカンド・サイト (文春文庫)
セカンド・サイト (文春文庫)

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2008年12月13日

君たちに明日はない/垣根 涼介 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが…。恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたつ人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作。

作品のタイトルと、垣根氏の過去の作風から見ると、この作品
は殺し屋を主人公としたハードボイルドではないかと思われる。
ところが、リストラをテーマとしたサラリーマン小説なのである。
これまでの大藪春彦調から荻原浩調にシフトしたようである。

リストラというのは、サラリーマンにとって死にも等しいものでは
ないだろうか。主人公の村上真介はリストラ請負会社に勤める
面接官である。ある意味殺し屋と言えるのかも知れない。
軽い性格のように描かれているが、押さえる所はきちんと押さえて
いる。仕事に取り組む姿勢は、まぎれも無くプロフェッショナブル
のものである。

連作短編集なので読み足りない部分もあった。特に「File.4 八方
ふさがりの女」は名古屋の描写が面白く、もっと続きを読みたかった。

作品としては面白いのだが、冒険小説でもサラリーマン小説でも、
垣根氏の作品は二番煎じという気がする。似たような作品を書いて
いる先人がいるのである。主人公が枠の中に納まっていると
いうのも気になる。一見ワイルドに見える垣根作品の主人公だが
常に安全サイドに身を置き、決して一線を越えようとはしない。
センターラインを割ろうとはしないクレバーな走り、と言えば
聞こえは良いのだが。

君たちに明日はない (新潮文庫)
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2008年12月21日

バカラ/服部 真澄 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
違法なバカラ賭博で多額の借金に喘ぐ週刊誌記者・志貴大希。自己破産寸前のところで探り当てたのは、カジノ合法化を巡る巨大な陰謀。大スクープをものにできるか、借金で破綻するか―志貴の運命は嵐の中の小船のように翻弄されてゆく。金の魔力に蕩かされた男たちの夢と現実をダイナミックに描いた傑作長篇小説。

作品のタイトルから一見ギャンブル小説と思われるが、実際
は週刊誌の記者を主人公としたマスコミの内幕物である。
しかし、登場人物達は一体何がしたかったのか、良く判らない。
特に財界の風雲児と言われる日継氏が登場する場面では、
とたんに描写が重苦しくなり、読むのが辛かった。
偶然の要素も多すぎる。

この作品からは残念ながらバカラの楽しさが伝わって来ない。
ちまちまとカードをカウントするブラックジャックなんかと違って、
バカラのテーブルは陽気に盛り上がってて楽しそうなんだよね。
ルール良く知らないからやった事は無いんだけどね。

バカラ (文春文庫)
バカラ (文春文庫)

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2008年12月31日

良いお年を

こんばんは。
今年一年、『まどかの読書日記』で書いた
レビューは50件でした。

昨年より3件少なくなってしまいました。
来年はもっと多くのレビューを書けるようにがんばります。

ではみなさん、良いお年を。

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