2008年07月07日

硝子のハンマー/貴志 祐介 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。

密室殺人をテーマとした本格物。介護サルや介護ロボットと言った、
如何にも怪しげな道具立てが次々と登場し、弁護士の青砥純子
と防犯コンサルタントの榎本が謎を解いて行く。

この作品は二部構成になっており、前半いい調子で謎解きが展開して
行ったと思ったら、後半は何故か一転、犯人目線の倒叙形式となる。
この構成は中途半端である。

作者としては、犯人の心理を書きたかったのだろうが、前半で推理を
働かせていた読者にとって、いきなり犯人が判ってしまうと言うのは
かなり興醒め。

犯人の動機も、殺人まで犯す必然性が無いように感じる。
作者はこのトリックを書きたかっただけではないのか。

とは言え、探偵役の防犯コンサルタント榎本のキャラクターは
なかなか魅力的であり、弁護士の青砥とのコンビも良い味を
出している。読み物としては充分楽しめる一冊である。

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

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2008年07月08日

操縦不能/内田 幹樹 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
北朝鮮からの亡命者を乗せたワシントン行き002便は、大雪のため遅れて離陸した。その直後、機長二人が倒れ、コクピットには副操縦士の江波だけが残された。そして墜落の危機が訪れる。速度と高度を示す計器がなぜか狂いはじめたのだ。万策尽きた江波に、救いの女神が現れる。元訓練生の岡本望美が、地上のシミュレーターで“一緒に飛ぶ”というのだ。最も危険な夜間飛行が、いま始まる。

元パイロットが書いた航空サスペンス小説。
この手の話だと、大抵は「お上がバックについてる」赤社が舞台に
なるのが常だが、この作品では青社が舞台となる。その意味では
ちょっと新鮮だった。

元パイロットが書いてるだけあってリアリティーや説得力はあるが、
サスペンス小説として見ると、少し盛り上がりに欠ける様な気もする。
亡命の背景や、航空機工作の犯人の処理も中途半端である。

読みやすい文章で、専門知識もふんだんに盛り込まれているのだが、
もう少しドラマティックな展開を期待するのは、酷と言う物だろうか。

操縦不能 (新潮文庫)
操縦不能 (新潮文庫)

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2008年07月09日

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇/山崎 豊子 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
十年におよぶ海外左遷に耐え、本社へ復帰をはたしたものの、恩地への報復の手がゆるむことはなかった。逆境の日々のなか、ついに「その日」はおとずれる。航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は五百二十名―。凄絶な遺体の検視、事故原因の究明、非情な補償交渉。救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられた恩地は、想像を絶する悲劇に直面し、苦悩する。慟哭を刻む第三巻。

この作品は、取材した事実に基づき、小説的に再構築した作品である、
という事になっている。しかし、航空史上最大のジャンボ機墜落事故の
克明な記録として、遺族の遺体確認や補償交渉のリアリティー、生々しさ
には圧倒される。作者の詳細な取材力には感心する。

しかし、もっとも心を打たれたのは、迷走する飛行機の中で家族に向けて
書かれた遺書を読んだ時だった。百万の言葉を弄するより、手帳に書か
れた短い文章の中に家族への思いや無念さが伝わって来る。

参考リンク
日本航空123便墜落事故
コックピットボイスレコーダーと調査委報告書を基にしたflash 地形・解説付き

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

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2008年07月21日

行きずりの街/志水 辰夫 ★★

内容(「BOOK」データベースより)
女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。日本冒険小説協会大賞受賞作。

小説として面白いかどうか以前に、非常に読みにくい文章です。
作者の日本語のセンスには問題があります。

ハードボイルドタッチの作品ですが、主人公に魅力が無いのが
致命的です。まあ、それ以前に作者の日本語がおかしいんですが。
ハードボイルドと言うと、タフでクールな主人公を想像しますが、
この作品の主人公は元教師で、現在は塾の講師をしています。
暴力事は苦手なくせに、やたらと突っかかって行く印象です。
主人公の行動には理解に苦しむ場面が多かったです。
ストーリーの方も、ご都合主義の展開ですね。

作者は『私が殺した少女/原 りょう』みたいな作品を書きたかった
のかな。でも、全然レベルが違いますね。

この作品は日本冒険小説協会大賞受賞作と言う事です。
そんな賞があるのも知りませんでした。
このような作品に賞を与える事は、決して賞のためにはなりません。
なにより読者のためになりません。

クソ小説を読んでみたいと言う人にはお勧めです。
ただ、酷い文章なので途中で投げ出すかも知れませんが。
あ、でも、表紙だけはなかなか味のある表紙ですよ。

行きずりの街 (新潮文庫)
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2008年07月22日

クライマーズ・ハイ/横山 秀夫 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。

日本航空123便墜落事故を題材とした小説です。
しかし、この作品は日航機墜落事故を報道する地方新聞社の人間
模様を書いたものであり、墜落事故はあくまでもニュースの「素材」
として扱われています。

世間を騒がす事件であれば、別に墜落事故でなくとも良かった訳で、
『沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇/山崎豊子』のような事故の生々しい
描写はほとんど出て来ません。

日航機墜落事故に興味を持ってこの作品を読んだ人には不満が
残るかも知れません。そんな方には『沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇』
を読む事をお勧めします。

主人公は地方新聞社に勤めており、墜落事故発生により全権デスク
に任命されます。新聞記者と言うとなんとなくインテリのイメージがあり
ますが、この新聞社の人たちは皆ヤクザみたいな人たちばかりです。
何故かみんな訳も無く怒っているみたいです。

サラリーマンとしても、父親としても不器用な男が、墜落事故の報道に
奔走する。その姿からは報道に対する熱い思いが伝わって来ます。
ただ、ラストは少し不満です。最後の投書の掲載には疑問が残ります。
新聞記者なら載せるべきではないと思いました。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)
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2008年07月25日

沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上)/山崎 豊子 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった…。

会長室編では、御巣鷹山の墜落事故後、組織の建て直しを図るため
首相に請われて国民航空の会長に就任した国見正之を中心として
物語が展開する。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。

国見会長は建て直しの手始めとして分裂している組合の統合を目指す。
整備士や機長など各部門から会社の現状について意見を聞くのだが、
その中で、「自分達の理想像」を熱く語る者はいても、「お客様にとって
の理想像」を語る者はいない。

一例を挙げれば、ある機長が、「昨年ソウルで着陸復行をした際、乗り
合わせた大蔵大臣から機長のアナウンスが無かったと指摘された為、
オペレーション・マニュアルがアナウンスをするように改定された。
しかし、安全上、課業順位最下位とも言えるアナウンスを、神経を最も
使う着陸復行、最進入の途中で課すなど考えられない。このように我々
の立場にたって考えてくれない職制である」と憤る。

この機長は、自分達が乗せているのが荷物だとでも思っているのだろうか。
乗客の立場にたって考えてみれば、アナウンスも無く着陸復行をされたら
不安を感じるのは当然である。機長が忙しければパーサーがアナウンス
すれば良いだけの話ではないだろうか。

このように、この会社の社員はお客様の立場にたって考えるという意識
が欠落しているのである。まるで社会主義国の航空会社のようだ。
上層部の腐敗や癒着などより、社員のこのような考え方の方が利用者
としては怖い。まさに国民不在の国民航空である。

この航空会社を国民航空と名付けたのは、作者である山崎氏の痛烈な
皮肉なのではないだろうか。

沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

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2008年07月31日

こんばんは

今月レビューを書いた作品は6作でした。
『沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下)』も読み終わってるんだけど、
まだレビューが書けていません。
今読んでいるのは、『夏のロケット』です。
なかなか面白い作品です。

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posted by まどか at 03:14| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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