2008年05月01日

タイトルマッチ/岡嶋 二人 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
元世界ジュニア・ウェルター級のチャンピオン最上永吉の息子が誘拐された。彼を破ったジャクソンに義弟が挑むタイトルマッチ二日前の事だった。犯人の要求は、“相手をノックアウトで倒せ。さもなくば子供の命はない”。犯人の狙いは何か。意想外の脅迫に翻弄される捜査陣。ラストまで一気のノンストップ長編推理。

ボクシングの世界を舞台にした誘拐物。
作者の一人である徳山氏がボクシングを志していたと言うだけあって、
この作品にはボクシング界の裏話が赤裸々に書かれている。
だが、読み始めて最初の内は、ボクシング界の内情の書き方が、
今一つこなれていないと言う印象を受けた。
それに、今時、世界戦のマッチメイクや、世界ランカーの作り方など、
ボクシングファンにとっては「常識」なのではないだろうか。

前作の『焦茶色のパステル』や『あした天気にしておくれ』と比べると、
若干荒さが目立つ。
しかし、犯人からの意外な要求や、後半のタイトルマッチ当日の緊迫感、
試合の臨場感ある描写などは見事であり、物語に引き込まれる。

タイトルマッチ (講談社文庫)
タイトルマッチ (講談社文庫)

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2008年05月05日

コンピュータの熱い罠/岡嶋 二人 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
相性診断によって男女を引き合わせるコンピュータ結婚相談所。オペレータの夏村絵里子は、恋人の名前を登録者リストに見つけて愕然とする。「何かがおかしい」彼のデータを見直し、不審を抱いた絵里子を、正体不明の悪意が捕らえる。相次いで身辺で起きる殺人事件は、増殖する恐怖の始まりでしかなかった。

この作品は今から20年以上前に書かれた作品です。
コンピュータが題材として使われていますが、音響カプラなんていう、
前世紀の遺物みたいな物が出てくるあたりに時代を感じます。
今ではモデムとかフロッピーも使わないですね。

当時の汎用機のハードディスクより、現在のパソコンのメモリの方が
容量が大きかったりして隔絶の感です。ただ、ハードウエアの性能が
いくら進歩しても、コンピュータの機能は現在でも変わりません。
コンピュータは入力された情報を命令通りに加工するだけです。

タイトルにあるように、コンピュータが罠を仕掛けるなんて事はあり
ません。あくまでも罠を仕掛けるのは、コンピュータに対する命令、
すなわち、プログラムを組んだ人間なんですね。

現在でも個人情報の流出や、流出した情報が犯罪に利用されて
しまう危険が問題になっていますが、20年以上前にそれを題材として
小説にまとめたあたりは、作者に先見の明があったと言う事でしょう。

物語は軽いタッチでさらりと読めます。終盤の展開はスピード感あり
スリリングです。主人公のキャラクターも上手く書けています。
ただ、この犯罪者にはちょっとリアリティーが無い気もします。

コンピュータの熱い罠 (講談社文庫)
コンピュータの熱い罠 (講談社文庫)

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2008年05月09日

Fake/五十嵐 貴久 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
平成16年1月。興信所の調査員・宮本と20歳の東大生・加奈は、浪人生・昌史を東京芸大に受からせるため、大学入試センター試験で完璧なカンニングを実行する。しかし、カンニングは露呈し、宮本は職を、加奈は学籍を失った。彼らを嵌めたのはカジノのオーナーで砥川組組長の息子・沢田。宮本、加奈、昌史、そして昌史の父で元港区会議員の西村は復讐のため、沢田と10億円を賭けたポーカーの勝負をする。入念なイカサマを仕掛けた4人は、絶対に負けるはずがなかったが―。名画「スティング」を超える驚愕の大仕掛け。奇跡のラストが待っている、痛快至福のエンタテインメント小説。

まるで『カイジ/福本 伸行』の小説版みたい。
ポーカーの勝負をカジノのオーナーで砥川組組長の息子・沢田に
受けさせるようまとめ上げたり、実際のポーカー勝負のスリル溢れる
駆け引きや緊迫感は、まさに『カイジ』の世界である。

ただ、前半のカンニングとポーカーのイカサマが同じネタなのは
やや芸がない。最後は意外な展開となるが、強引と言う気がして
ならない。実際リアリティーは無いだろう。

コンゲームを題材とした小説として退屈せずに読めるが、若干台詞
回しに読みにくい部分があるのが気になった。
ラストの決着の仕方や、主人公の宮元と加奈の関係も今一つ
すっきりしない。

Fake (幻冬舎文庫 い 18-4)
Fake (幻冬舎文庫 い 18-4)

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2008年05月12日

国連航空軍サハリン空中戦/鳴海 章 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク発のジャンボ機が離陸直後に爆発。犯行声明を出したハッカー組織は、日本へ向かって飛行中の同型機にも爆弾を仕掛けたと告げてきた。折しも、航空自衛隊千歳基地では、政府専用機を用いた日米ロの三空軍共同の秘密作戦が進行していた。組織は極秘のはずの作戦に対して、民航機を人質に航路変更を要求してきた。第一人者が描く緊迫のエア・サスペンス。

国連航空軍「ユニコーン」出撃指令の続編です。
ニューヨークから東京に向け飛行中の旅客機に爆弾が仕掛けられます。
その頃、日本では日米ロの三空軍共同の秘密作戦が進行しています。
頻繁な場面転換で、ニューヨーク、ロサンゼルス、東京、千歳等の各所で
様々な人間模様が描かれます。

爆弾を仕掛けられた旅客機が刻一刻東京に近づいている中、何が
なんだか判らない内に、敵味方入り乱れての空中戦になります。
前作で登場した悪役の人たちも出てきますが、結局何をしたかった
のか良く判りませんでした。

前作では緊迫した戦闘場面が全編にわたって展開されていますが、
本作ではラスト近くになってだけです。爆弾を搭載した旅客機という
舞台も、頻繁な場面転換や、各人の思惑が入り乱れ、今一つ緊迫感
が伝わって来ません。

国連航空軍サハリン空中戦 (ケイブンシャ文庫)
国連航空軍サハリン空中戦 (ケイブンシャ文庫)

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2008年05月19日

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)/山崎 豊子 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命―。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。

この作品は、取材した事実に基づき、小説的に再構築した作品である。
主人公の恩地元は、組合の委員長としてストライキを決行した事により
会社に睨まれ、中近東からアフリカへと内規を無視した十年近くの海外
赴任を強いられる。アフリカ篇(上)(下)は恩地の回想により、その間の
事情が語られる。

うざい妻子を日本に残し、アフリカで狩猟ざんまいの日々。
何人もの召使いを雇い、日本の住宅事情では考えられない広い屋敷
に住む。天国じゃないか。この男は何が不満なんだ?

長期の海外赴任を拒否する姿勢には、世界に航路を伸ばそうとしている
ナショナル・フラッグの社員として、国際感覚が欠如していると思った。
航空会社に限らず、商社やメーカーなどでも、ニューヨークやロンドン等、
先進国の主要都市に配属されるのは極一部のエリートだけで、大部分の
海外赴任者は僻地に赴任しているのではないだろうか。海外赴任が嫌
ならば、そもそも何故航空会社を就職先として選んだのだろう。転職とか
は考えなかったのだろうか。

日本に戻すという話も何度かあったが、恩地は頑なに拒否している。
会社にも問題があるが、恩地自身にも問題があったのではないかと
思えてしまう。

日本を代表する航空会社の複雑な労使問題、経済性や効率を追求する
あまり、安全性を疎かにする経営陣の体質など、考えさせられる事の
多い作品である。

参考リンク
日本航空インターナショナル
日本航空の組合問題
小倉寛太郎(恩地元の原型とされる人物)

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

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2008年05月20日

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) /山崎 豊子 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。共に闘った同期の友の裏切り。そして、家族との別離―。焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす…。

パキスタン、イラン、ケニアと、恩地の海外たらい回しの旅は続く。
組合の副委員長として共に闘った同期の行天は会社側に寝返り
順調に出世を重ねていく。

そんな中、1972年に国民航空の旅客機がニューデリー、ボンベイ、
モスクワと連続して事故を起こす。事故調査班として現地に派遣
された国民航空社員の苦闘が書かれる。

しかし、事故原因をパイロットのミスとする社員の考えは無視され、
会社には空港設備の不備であるとの報告が出される。また、事故
原因調査に同行したパイロットが、同じパイロット仲間を擁護する
ため、自分の目で見た事実を信じず、執拗に仮定の想像を繰り返し、
空港設備に責任を求める姿にはあきれてしまった。

このような体質が、日本航空(作中では国民航空)123便墜落事故
に繋がって行ったのではないだろうか。

やがて、恩地に日本帰国の話が出てくる。しかし、それは会社側が
折れた訳では無く、連続事故の背景に国民航空の労使関係が影響
しているのではないかと国会で追及されたからであった。会社として
は、更なる僻地へ追いやる計画もあったようだ。

家族との別れ、出世を重ねるかつての仲間、海外で一人仕事をする
孤独、日本で会社に差別されながらも頑張っている組合の仲間、様々
な思いが積み重なり、恩地は精神的に追い込まれていく。

執拗な報復人事、組合つぶし、安全軽視の体質など、会社の非情
さが赤裸々に書かれるアフリカ篇。
そして物語は運命の御巣鷹山篇へと続く。

参考リンク
日航機墜落事故

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)

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2008年05月29日

安政五年の大脱走/五十嵐 貴久 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
安政五年、井伊直弼に謀られ、南津和野藩士五十一人と、美しく才気溢れる姫・美雪が脱出不可能な絖神岳山頂に幽閉された。直弼の要求は姫の「心」、与えられた時間は一カ月。刀を奪われ、逃げ道を塞がれた男達は、密かに穴を掘り始めたが、極限状態での作業は困難を極める…。恋、友情、誇りが胸を熱くする、痛快!驚愕!感動の娯楽大作。

器用な作家である。今まで『リカ』、『交渉人』、『Fake』と読んできたが
一作ごとに異なった題材を取り上げている。しかし、その器用さ故か、
作品をこねくり回してしまい、結果として、落ちに鋭さを欠く傾向があ
るのではないだろうか。本作でもその傾向が当てはまる。

敵味方のキャラクターは良く書けているし、スピード感のある展開で、
娯楽作としては充分楽しめる。ただ、かなり強引なストーリー展開や
舞台装置で、脱走劇を書きたかっただけでは無いかという気もする。

一ヶ月というタイムリミットがある中で、数々の障害を乗り越え脱出
を試みる南津和野藩士には感情移入できる。しかし、愚直に穴を
掘る南津和野藩士を応援していた分だけ、読者が望んでいたのは
「意外な結末」では無く「達成感」だったのでは無いだろうか。

安政五年の大脱走 (幻冬舎文庫)
安政五年の大脱走 (幻冬舎文庫)

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2008年05月31日

こんばんは

今月レビューを書いた作品は7作でした。
もっとたくさん読んでるんだけど、
読むのが速すぎて、レビューを書くのが
追いつきません。
いい加減に書いてるようでも、結構集中力を
必要とするんですね。
来月はもっとたくさん書けるように頑張ります。
posted by まどか at 03:18| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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