2008年04月01日

太平洋の薔薇 (上)/笹本 稜平 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
伝説の名船長・柚木静一郎は最後の航海を迎えていた。横浜への帰路を襲った海賊の罠。船を乗っ取った彼らの目的は、積荷や身代金ではなかった。裏で、悪名高いテロリストが糸を引いていたのだ。乗組員の命を楯に取られ、柚木は無謀とも言える嵐の海への航海に挑んでいく。同じ頃、ロシアでは100トンにも及ぶ、史上最悪の生物兵器が盗み出されていた―。大薮春彦賞受賞作。

魅力的な海洋冒険小説であり、国際謀略小説です。
ただ、上巻ではロシアで盗まれた生物兵器の捜査、アメリカのCIA、
豪華客船に乗る謎の大富豪と執事、大富豪の主治医となる船医など、
多くの人物が登場し、頻繁に場面が切り替わるため、物語の中心となる
ハイジャックされた船のストーリーがなかなか進まない。
下巻になると様々な伏線が収束し、感動的なラストを迎えるのだが。

太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)
太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)

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2008年04月06日

太平洋の薔薇 (下)/笹本 稜平 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
海上保安監である柚木の娘・夏海と同僚たちの必死の追跡に、荒れ狂う海が立ちはだかる。さらに追い討ちをかけるように、悪夢のような事故が!いずれ死ぬ運命なのか―絶望的窮地に追い込まれながらも、柚木と乗組員たちは、テロリストの野望に命を懸け立ち向かう。男たちの熱い思いが胸を打つ!全選考委員の絶賛を浴びた、圧倒的迫力の大薮賞受賞作品。

上巻では場面が頻繁に切り替わり展開が遅かったきらいがあるが、
下巻では張られた伏線が収束して行き、感動のラストを迎える。
ハリウッド映画の如く、読者の期待通りのストーリー展開を見せる。
ただ、難を言えば、作者の都合が優先する展開があったり、テロリスト
があっけなく死んでしまったりする部分が気になった。
そもそも、あえて目立つハイジャックをする必要があったのか疑問である。
終盤はグレート船長柚木マンセーの描写が演出過剰気味に思えたりもする。
とはいえ、海洋冒険小説、国際謀略小説として読み応え充分な作品である
事は間違いない。

太平洋の薔薇 (下) (光文社文庫)
太平洋の薔薇 (下) (光文社文庫)

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2008年04月07日

アルキメデスは手を汚さない/小峰 元 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
「アルキメデス」という不可解な言葉だけを残して、女子高生・美雪は絶命。さらにクラスメートが教室で毒殺未遂に倒れ、行方不明者も出て、学内は騒然!大人たちも巻き込んだミステリアスな事件の真相は?’70年代の学園を舞台に、若者の友情と反抗を描く伝説の青春ミステリー。江戸川乱歩賞受賞作。

第19回江戸川乱歩賞受賞作。1973年の作品。
ミステリーと言うより青春小説と言った方が良いのだろう。
だけど、青春小説として読むには、この作品に書かれて
いる若者達には魅力が感じられず、感情移入出来ない。

作品中に「総括」と言う言葉が使われているように、当時活動
していた連合赤軍の影響を強く受けているのだろうが、妙に
姑息で若者らしさが感じられない。

法に違反しなければ何をしても良いと言う土建屋の柴本氏も、
この若者たちの考えも、基本的に同じではないだろうか。
むしろ柴本氏の方が正常で、柴本氏の娘の美雪や、その仲間
の高校生の方が異常とさえ思えてしまう。

時代背景が違うのかも知れないが、当時の彼らより、はるかに
若い世代であるにも関わらず、その考え方や行動は奇異に感じた。
この作品で書かれているのは、大人の目線から見た若者達なの
ではないだろうか。

登場人物に共感できないのは、青春小説としては致命的である。
ミステリーとして見ても、時刻表トリックや密室などを取り込んで
いるが、いずれもただ使っているだけで、底が浅く中途半端である。

アルキメデスは手を汚さない (講談社文庫)
アルキメデスは手を汚さない (講談社文庫)

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2008年04月10日

神様からひと言/荻原 浩 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。

小説として誇張された面はあるが、この作品に書かれている
会議の様子や、派閥・保身などの姿は、サラリーマンなら
誰しも共感できる部分があるのではないだろうか。

主人公が「お客様相談室」へ異動させられ、クレーム処理に
奔走する様子は非常に面白く読めた。
特に恐喝に来たヤクザ者への対応などは痛快である。
「お客様相談室」の先輩である篠崎のキャラクターも、うまく
書けている。

ただ、ラストが物足りない。
サラリーマンとして奮闘する主人公の姿が面白かった分だけ、
もう少し頑張って欲しかったという思いが残った。

神様からひと言 (光文社文庫)
神様からひと言 (光文社文庫)

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2008年04月18日

密閉教室/法月 綸太郎 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
早朝の教室で、高校生中町圭介は死んでいた。コピーの遺書が残り、窓もドアも閉ざしてある。しかも異様なことに四十八組あったはずの机と椅子が、すべて消えていた。級友工藤順也がその死の謎に迫るとき次々現れた驚愕すべき真相とは?精緻な構成に支えられた本格推理の力作。

なんとなく、小説を読んだという気がしない。
それはたぶん登場人物、特に主人公の人間が書けていない
からだろう。

この作品の主人公は、作者の操り人形か、ロールプレイング
ゲームの中のキャラクターのように思えてしまった。

もちろんこの作品は推理小説として、人間がどうこうと言うよりは、
トリックや謎解きに重きを置いているのだろうが。

肝心の謎解きも、荒唐無稽な背景に、偶然に偶然が重なった
だけという気がしてしまった。
ラストでは多少とも人間臭くなり、意外などんでん返しが楽しめるのだが。

一つの章が異常に短いので、普段本を読まないようなゆとり世代の
人には読みやすいかも。

密閉教室 (講談社文庫)
密閉教室 (講談社文庫)

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2008年04月19日

銀行総務特命/池井戸 潤 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
帝都銀行で唯一、不祥事担当の特命を受けている指宿修平。顧客名簿流出、幹部の裏金づくりからストーカー問題まで、醜聞隠蔽のため指宿が奔走する。だが、知りすぎた男は巨大組織のなかで孤立していく。部下になった女性行員、唐木怜が生き残りの鍵を握る―。腐敗する組織をリアルに描いた傑作ミステリー。

銀行の総務部で不祥事担当の特命を受けている指宿修平を
主人公とした一話完結の短編集。主人公である指宿修平の
年齢や外見などの描写が一切無いのでイメージが掴みづら
かった。

短編なのであっさりと終わってしまう印象が残った。
ただ、一作ごとに上手くなっているというか、作者が短編に
慣れていった様な気がする。銀行という、一般企業より高い
規範を要求される組織での人間模様が描かれる。

気に入った作品をいくつか紹介してみます。
『官能銀行』
いまどき官能小説でもお目にかかれないようなベタなタイトル
なので逆に期待してしまった。でもやや期待はずれかな。
作者には銀行ビジネスなけでなく、男女の機微や色恋なども、
もう少し勉強して欲しい。

『特命対特命』
どこの企業にも派閥やセクト意識みたいなものがあるもので、
似たような仕事をしている部門ほど仲が悪かったりします。
総務部に対抗して人事部でも特命部門を創設します。
巨額損失の捜査をめぐって激しく対立する中、はたして
リミットの役員会までに真相は掴めるのか。
スリリングな展開を見せます。

銀行総務特命 (講談社文庫)
銀行総務特命 (講談社文庫)

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2008年04月20日

ビッグブラザーを撃て! /笹本 稜平 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
一人の会社員が巨大組織の陰謀に立ち向かう!ソフト開発会社員・石黒悠太は、目の前で変死を遂げた友人から、1枚のディスクを託された。中には、スーパーコンピュータを駆使しても解読に50年はかかる、世界最強の暗号ソフトが。国際的謀略組織“ビッグブラザー”の魔手が、悠太と家族に迫る―。圧倒的なリアリティ!冒険小説界の大器、衝撃の処女長編。

暗号ソフトを題材とした謀略小説として、着眼点は良いのだが、
その面白さが充分に読者に伝わっていない気がする。
それは多分現実感の無さ、特に国際的謀略組織とやらの現実感が
無いからだろう。姿を見せない謎の組織という設定は魅力的だが、
戦う相手が個人のためスケールが小さく、ホームドラマのようになって
しまった。

現代のコンピュータは、汎用機より性能の良いワークステーションが
登場し、さらにワークステーションより性能の良いパソコンが登場し、
果てはパソコンより高性能なCPUを搭載した携帯電話やゲーム機が
登場し、といった具合に、ハードウエアの性能が飛躍的に上がると共に、
より利用者に身近な存在となっている。
また、コンピュータを単体で使うのでは無く、ネットワークとして
一つの社会を形成するに至っている。

そういう意味では、もっとコンピュータを題材とした小説が出てきても
良いような気がする。ただ、日進月歩の世界なので、内容が陳腐化
するのも早いので難しいのかも知れない。

ビッグブラザーを撃て! (光文社文庫)
ビッグブラザーを撃て! (光文社文庫)

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2008年04月29日

虚(うつろ)の王/馳 星周 ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
金曜の夜、渋谷。伝説のチーム“金狼”の元メンバーで今は覚醒剤の売人の新田隆弘は、兄貴分の命令で高校生が作った売春の組織を探っていた。組織を仕切るのは渡辺栄司、学業優秀な優男。だが、誰もが彼を怖れていた。隆弘の拳よりも。苛立つ隆弘の前に栄司が現われたとき、破滅への疾走が始まった…。十代の心の空虚さ―闇に潜む戦慄を鋭利に描く傑作長編。

覚醒剤の売人となっている新田隆弘が、高校生の作った売春組織を
探る過程で、売春組織を取り仕切る栄司、栄司の恋人の希生、希生
の通う学校の教師である潤子と知り合う。

もちろん隆弘の目的は正義のためなんかでは無く、売春組織の上がり
を掠めるためである。
この作者の作品に、まともな人間なんて出てくる訳が無い。

隆弘、栄司、希生、潤子のクソミソパーティーを軸に物語りは展開する。
躍動感、力感あふれる隆弘の描写が見事。ただ、この作品のもう一人
の主役である栄司には現実感が欠けていると感じた。

隆弘が栄司、希生、潤子と関わる内に、例によってドツボに嵌まって行く。
登場人物の過去の記憶に起因する小道具も当然使われている。
既読感バリバリ、でも読んでる間はとっても幸せ。理屈なんかいらない。
まだ未読の馳星周作品がある人は幸せである。

虚(うつろ)の王 (光文社文庫)
虚(うつろ)の王 (光文社文庫)

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