2007年09月10日

無間地獄 下/新堂 冬樹 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
桐生は自分の座を脅かす若頭補佐の鬼塚の暗殺を密かに決意した。一方、容姿だけが唯一無二の財産の玉城は何者かに整形されて底無しの地獄沼に溺れるが、ついに逃亡に成功する。逃げるろくでなし、追うひとでなし。人はどこまで堕ちるのか?獰猛な獣たちの最終決戦が始まった…。金の魔力を描き切った現代版『ヴェニスの商人』。

下巻では、今まで女性を食い物にしてきたエステサロンのトップ
セールスマン玉城が、これでもかと言う位悲惨な目に合う。
その様は滑稽ですらある。
上巻から一気に展開がスピードアップし、玉城の悲惨な状況は
それなりに面白いのだが、やはり何かが足りない気がする。
暗黒小説に必要な要素を網羅し、ラストもそつなくまとめているのだが、
逆にうまくまとめすぎている感がして、大藪春彦や馳星周などの作品
と比較すると、今ひとつ物足りない。

無間地獄 下 幻冬舎文庫 し 13-2
無間地獄 下  幻冬舎文庫 し 13-2
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2007年09月11日

火車/宮部 みゆき ★★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

休職中の刑事、その息子、家政夫を職業とする男性とその妻など、
独特のテンポをもった登場人物たちが、作品の中で生きている。
冒頭で、主人公の置かれている状況を地の文で説明するのでは無く、
自然な描写で読者に伝えたり、実際には物語りに登場していない、
失踪した女性の心理や行動を、女性の過去を調査する過程で描いて
いるのは、上手いとしか言いようが無い。
謎の女性が最後まで正体を現さないのもサスペンスを盛り上げる。
この作品で直木賞あげても良かったのではないかと思う。
秀作です。

火車 (新潮文庫)
火車 (新潮文庫)
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2007年09月12日

氷山空母を撃沈せよ!〈上〉〈下〉/伊吹 秀明 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
昭和十七年六月五日未明、南雲艦隊の108機の攻撃隊がミッドウェー島へ発進、迎え撃つ米軍機TBFアベンジャー、B‐17「空の要塞」、SBDドーントレスらを蹴散らした。米空母三隻を撃沈して勝利に酔う攻撃隊の無線機に、氷山空母発見の報が飛びこむ。わずか二時間後、南雲艦隊の精鋭四空母は壊滅、聯合艦隊司令長官山本五十六は“敵艦隊攻撃C法”を発令した。「すべての戦力を結集し、氷山空母を撃つべし」。

ちょっと、氷山空母って、溶けちゃうよ。大丈夫なの?
こんなの一隻作るなら、普通の空母10隻作った方が、
遥かに戦略的価値は高いのではないだろうか。
あまりにも荒唐無稽な設定ではあるが、読み物としては
それなりに退屈しないで読める。

氷山空母を撃沈せよ!〈上〉
氷山空母を撃沈せよ!〈上〉


氷山空母を撃沈せよ! (下)
氷山空母を撃沈せよ! (下)
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2007年09月13日

四日間の奇蹟/浅倉 卓弥 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作として、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化。脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。

第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作。
でもこれ、ミステリーじゃ無いじゃん。
幻想小説かファンタジーと言うべき作品ですね。
何故この作品がミステリーの賞を取れたのか、それこそミステリーです。

審査員はバカばっかりだったんでしょうか。
それとも、ろくな作品が集まらなかったのかな。

それなりの感動作ではあるが、真理子という人物が、ちょっと
出来すぎていたり、お涙頂戴の部分が鼻に付いたりもする。
千織という少女の造形は、なかなか秀逸。
ミステリーだと思って読むと、展開が遅いのでいらつくかも知れない。

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)
四日間の奇蹟 (宝島社文庫)
posted by まどか at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月14日

午前三時のルースター/垣根 涼介 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。

ベトナムには行った事がありませんが、何故かベトナムの事なら
多少は知っています。自分が知らない国なら、素直に読んでしまう
所ですが、知っている国だと妙にディティールにこだわってしまいます。

主人公は45タイヤを履いたタクシーの運転手を雇いますが、あたしなら
東南アジアの道路を、45タイヤを履いた車で走ろうとは思いません。
RV車の方が余程実用的です。
また、作者は知ってか知らずか、社会主義国としての、ベトナム独自
のシステムについても、誤りが有ると言うか、書かれていない部分が
あります。

もちろん、そんな事に関係なく、読み物として充分楽しめる作品である
事は間違いありません。
少年の成長と明日への希望といった、作者の主張が感じられます。
荒削りな部分もありますが、デビュー作でこれだけ書けるなら大した
ものです。ただ、取って付けたようなタイトルはどうかと思います。

午前三時のルースター (文春文庫)
午前三時のルースター (文春文庫)
posted by まどか at 19:17| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 垣根 涼介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月15日

カタコンベ/神山 裕右 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
リミットは水没するまでの5時間。洞窟に閉じ込められた調査隊が危ない!「贖罪」の思いを胸に、単身、救助に向かった青年を襲う「殺人者」の恐怖。史上最年少24歳3カ月!第50回江戸川乱歩賞受賞作。

ケイビング(洞窟探検)という素材は新鮮だが、その内容は、過去に
傷を持つ男がウジウジするという、乱歩賞ではお馴染みの展開である。
まるで乱歩賞の応募規定になっているかのようで、、何作も乱歩賞作品
を読んでいると、いい加減にしてくれと思いたくなる。
話自体は『ホワイトアウト/真保裕一』に似ていると思った。

洞窟探検というとなんとなくワクワクする。
題名は忘れたが江戸川乱歩の作品に洞窟を探検する話があって、
子供の頃ワクワクして読んだ記憶がある。

この作品にも確かにワクワク感がある。
それがこの作品の最大の売りだろう。
しかし、それ以上に、あまりにも荒削りというか未熟であり、
多くの欠点がある事も事実である。
ミステリーとして読まず、冒険小説として読んだ方が良いだろう。

素材自体は面白いので、書ける作家が書いていたら、もっと面白い話
になっていただろうという気がする。

カタコンベ (講談社文庫)
カタコンベ (講談社文庫)
posted by まどか at 23:34| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー(和書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月17日

雷撃深度一九・五/池上 司 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
昭和20年7月16日、110余名の乗員と人間魚雷回天を乗せた伊五八潜水艦が呉軍港を出港した。フィリピン東方を通過する敵艦船をグアム―レイテ線上で撃沈せよとの特命を受けた倉本艦長は、宿敵マックベイ大佐と太平洋戦争における艦艇同士の最後の闘いに挑む―。全く新しい戦争サスペンスの誕生。

潜水艦を舞台にした戦記物です。
内容は、『終戦のローレライ/福井敏晴』に似ていると思いました。
もちろん出たのはこの作品の方が先ですし、こちらの方がより本格的
な戦記物です。だって、終戦のローレライはガンダムだもんね。

潜水艦という密閉空間における孤独な戦いが、手に汗握るタッチで
書かれています。漏水や火災、酸素の消費といった、敵と戦う以前に
対処すべき問題が多数あるのですから、厄介な乗り物です。
でも、そこが潜水艦の面白い所でもあります。

ところで、この艦長は優柔不断ですね。
問題を先送りにしてばかりいるように感じられます。
そんな事だから途中で拾った爺さんに指揮権を取られたりするんですよ。
潜水艦で指揮系統が二重になったらまずいですよ。
もっとしっかりして欲しかったですね。

回天の運用をめぐって、国粋主義に凝り固まった乗員と艦長たちが
もっと激しく対立するなど、人間模様を書き込めば、物語に深みが出た
のではないでしょうか。

雷撃深度一九・五 (文春文庫)
雷撃深度一九・五 (文春文庫)
posted by まどか at 02:24| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦記小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月18日

スーパー・ゼロ/鳴海 章 ★★★

内容(「BOOK」データベースより)
究極の電子兵器“スーパーマンの目”は、人間の脳とダイレクトにアクセスすることができる超思考・電子感応装置である。これを組み込んだ新型戦闘機を開発しようとする米空軍の危険な野望を阻止するため、あの、ゼロ・チームが再び結集した。

なんとなく、寂れた展開です。
前作で、日本独自の戦闘機を開発し、北朝鮮まで爆撃に行った
勢いは完全に無くなっています。

今回の目的は、アメリカの新型戦闘機を奪うか爆破する事です。
でも、何故日本の自衛隊をクビになったジークこと那須野治朗が、
そんな事をしなければならないのか、今ひとつ良く判りません。

究極の電子兵器“スーパーマンの目”とやらが出てきますが、どうも
SFっぽくて現実感に欠けます。やはり人間同士の戦いの方が熱く
なれますね。

スーパー・ゼロ
スーパー・ゼロ

posted by まどか at 00:28| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 鳴海 章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月19日

殺人鬼〈2〉―逆襲篇/綾辻 行人 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
あいつはやはり生きていた!双葉山中に潜むあの殺人鬼が、麓の街に姿を現わしたのだ。凄惨きわまりない殺戮の狂宴が、いま再び始まる。他人の“目”になる不思議な能力を持った少年・真実哉との対決の行方は?そして明かされる、驚くべきその正体とは…。ミステリー界に一大衝撃をもたらした、新本格スプラッタ・ホラーの第二弾!あなたはこの恐怖に耐えられるか。

冒頭から最後まで、凄惨極まりない殺戮の描写で埋め尽くされている。
前作では小細工によってチマチマとした間違い探しになっている
部分もあったが、本作ではわりと簡単な仕掛けとなっている。
その分、凄惨な殺害場面のオンパレードとなる。
ここまでやると、もはや天晴れと言う気もする。
スプラッター好きの人は充分に欲求が満たされるだろう。
でも、気の弱い人は読まない方が良いかも。

殺人鬼〈2〉―逆襲篇 (新潮文庫)
殺人鬼〈2〉―逆襲篇 (新潮文庫)
posted by まどか at 02:01| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 綾辻 行人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月20日

ダビデの星の暗号/井沢 元彦 ★★★★

内容(「BOOK」データベースより)
探偵は25歳の新進作家・芥川龍之介、本格歴史ミステリー。龍之介は伊達騒動の大悪人・原田甲斐の子孫である友人・原田宗助から先祖の恥をすすぐため、掛軸に隠された暗号解読を依頼される。だがほどなく宗助は、密室殺人の被害者となってしまった。鍵は桜と橘、国史をも揺るがす衝撃的事実とは何か。

探偵役は、文豪の芥川龍之介。
写真で見ると神経質そうで、人嫌いに見えますが、小説の中では友人
思いの人柄として書かれています。
調べて見ると、実際の芥川龍之介も友情に厚かったようで少し意外でした。
海軍機関学校で教官をしていたというのも意外ですね。

その芥川探偵が、友人から依頼された、掛軸に隠された暗号解読を
進める内に様々な事件に巻き込まれます。
実在の人物が出てきたりして、当時の状況がしのばれます。
なんと若き日の江戸川乱歩も登場します。
このあたりサービス精神旺盛ですね。

ラストはちょっとあっさり終わってしまった印象です。
掛け軸に隠された謎と、ダビデの星の関連が今ひとつ判り難かったです。
でも、芥川探偵はなかなか魅力的であり、掛け軸の暗号解読を進め、
国史をも揺るがす衝撃的事実を推察する過程は、歴史ミステリーとして
充分楽しめます。

ダビデの星の暗号 (角川文庫)
ダビデの星の暗号 (角川文庫)
posted by まどか at 01:49| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 井沢 元彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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